東海自然歩道 ①

歩き旅

曽爾高原と倶留尊山

日本のロングトレッキングコースを歩いてみたい。関東以外の山に登ってみたい。そんな希望からHiker’s Depotの土屋さんにお勧めしていいただいたのが”東海自然歩道ー曽爾高原から笠置”までのコースでした。

このコースは一部が「山の辺の道」になっていてそこは今年(2024年)6月に歩いたところでした。

暫く地図とにらめっこをして決めたのは、次のルートでした。

曽爾高原で先ずは倶留尊山1036m(亀山、二本ボソ経由)に登り、紅葉とススキの曽爾高原を歩く。その後、東海自然歩道に沿って曽爾村から室生寺、室生ダム、まほろば湖(初瀬ダム)、長谷寺から三輪までを4日かけて歩くコースです。1日に自分がどれくらい歩けるのかよく分からなかったので、短めに設定しました。(11月で日没も早くなるので、明るいうちに必ず目的地に着けるようにと思いました)

まずは奈良県の景観・自然環境課から”東海自然歩道”の地図(パンフレットを兼ねています)を取り寄せました。距離を計算して1日の歩く行程も決めました。そして、テント泊はできないので、宿を探して予約を入れました。

行程 (1日目)

名張駅(定期バス利用) → 曽爾高原バス停 → 曽爾高原入り口 → 亀山 → 亀山峠 → 二本ボソ → (この先は私有地) 倶留尊山 → 二本ボソ → 亀山峠 → 曽爾高原 → お亀池 → 曽爾高原入り口 → 曽爾高原温泉(お亀の湯)→ 曽爾村 (民宿泊)

曽爾高原へは、名張駅からバスが出ていますが、期間限定のバスで10月1日から11月30日の2ヶ月間しか運航されていません。そして、曽爾高原行きは午前9時35分に出る1本しかありません。そのため、名張駅前で前泊をすることにしました。

4日間、お天気には恵まれそうでしたが、気温の変化は未知数でしたので、最低限の着替えとダウンを用意しました。お水や行動食などを入れるとバックパックの重さは8kg近くなりました。荷物の削り方がまだまだ甘いと、歩き始めてから後悔することになります。

名張駅では、バス出発の20分前に行きましたが、すでに長い列ができていました。「バスに乗客がいるのかしら?」と心配していたのとは真逆でした。そして、座席に座ることもできず、40分ほど立ったままの乗車となりました。

終点の曽爾高原バス停から野口駐車場まで歩き、曽爾高原に入ります。

高原全体が見えてきましたが、そちらには向かわずに先ずは亀山を目指します。 徐々に登りになり、木々のを抜けると展望が開けて眼下に一面のススキとお亀池が見えます。お亀池を取り巻くようにススキの原がせり上がり高原を作っています。その高原の縁を登っていきます。斜度が上がっていきます。

亀山849mへはほどなく登頂ですが、山頂といっても木の枝に「亀山 849m」の標識がかかっているだけです。さらに進むと亀山峠に到着、そこから二本ボソに向かいます。

左手にススキの斜面と少しずつ小さくなっていくお亀池。くっきりとした稜線を歩きます。

ずっと先まで見渡せる稜線ですが、途中2か所に鎖場があり、岩をよじ登っていくところもあります。見かけよりもタフなルートです。

少し樹林帯に入ったところで、真っ黒い蛇と遭遇しました。人影に会っても悠々と道の真ん中を這っていきます。お天気も良く、気温も高かったので、日向ぼっこに出てきたのかもしれません。

樹林帯を抜けると二本ボソ、996mの頂上です。そしてこの頂上からはこれから向かう俱留尊山が見えます。間近で見る俱留尊山は紅葉した真っ赤な木、オレンジ色の木、黄色い木とポツンポツンと色々な色彩が混ざり合い秋らしい風情です。

ここから先は私有地を通るため、入山料500円を払って行きます。一旦少し下った後に尾根を歩き、きつめの岩場を登りやっと頂上です。俱留尊山、標高1037.6m。曽爾高原入口から2時間弱で登頂です。

山頂は木々に囲まれているため、開けた展望はありませんが、木々の間から周囲の山々が見えます。

頂上に着いたのは12時30分ごろ。ちょうどお昼の時間です。頂上の周囲にある木陰の丸太に座って、色付いた木々に囲まれておにぎりをいただきます。木々の向こうには真っ青な空。清々しい気持ちになります。

曽爾高原の散策もあるので、お昼を食べて直ぐに下山です。登りがきつかった分、下りも急です。足元に注意しながら、ゆっくり下山します。

少し雲が出始めましたが、周囲の山と青い空、白い雲、紅葉した木々とススキ。このコンビネーションに見とれながら贅沢な下山です。下っていくとともに、ススキが近くなり、お亀池が大きくなります。よじ登った鎖場も慎重に下りていきます。

亀山峠からは曽爾高原の中に入るルートです。ススキのただ中に入っていきます。

お亀池の傍らには、キャンピングテーブルとベンチなどがあり、夕景を楽しんだり、休憩できる場所があります。そこでご一緒させていただいたのはボランティアで曽爾高原の保全のお手伝いをしている地元のシルバー人材センターの方々でした。

曽爾高原に来た人達皆が楽しめるように、柵の中には入らない、この時期火を使わないなど、周囲に気を配ります。ご一緒している間も、隣のキャンピングテーブルでバーナーを使ってお湯を沸かしてコーヒーを入れようとしていたグループの方に、「危ないのでバーナーの使用は控てくださいね。」と声をかけていました。(声がけされた方も快く速やかに止めていました)

下山したのは14時ごろでしたが、日の入りの17時ごろが人が多くなるピークだそうです。ただ、この日はみるみる雲が多くなり、「今日は夕景は望めそうにない」ということでした。

このボランティアの方々からは曽爾高原の保全についてや景色の良い場所など、楽しいお話しを聞いて、お勧めポイントを回ることにしました。

この頃には曽爾高原全体が雲に覆われ始めていましたが、時折雲の間から陽が差すとススキが一段とキラキラ輝いて見えます。

こうして曽爾高原を一周し、ススキと紅葉、雲から差し込む陽の光とのコントラストを堪能したので、夕景を待たずに曽爾高原から曽爾高原ファームガーデン、曽爾高原温泉”お亀の湯まで下ることにしました。

曽爾高原ファームガーデンと曽爾高原温泉は曽爾高原から30分ほど下ったところにあります。途中で「東海自然歩道」の標識があったのでそちらに沿って、曽爾高原温泉”お亀の湯”までいき、温泉に入りました。

お亀の湯の泉質は泉質はナトリウムー炭酸水素塩温泉だそうです。入ると肌にまとわりつくような、すこしぬめりを感じるしっとりとしたお湯です。

更に、ここでお夕飯も済ませ、曽爾村まで30分ほど歩いていきます。17時を少し回ったくらいでしたが、曽爾高原からの道路は夕景を見に来た人達が帰る車のピークでしたので、舗道もない混雑した道路を避けて迂回路を歩きました。

こちらは「東海自然歩道」になっていましたが、途中から民家も途切れ、灯りも無かったので用意していたヘッドライトを点灯して歩きました。

18時に民宿に到着です。今日の行程はこれで終わりです。

Instagramに動画も投稿しています。合わせてご覧いただければ幸いです。 

ギャラリー