宿選び
2022年のフランス人の道の巡礼では宿選びについて宿の種類などを記しました。
基本的には宿の種類は変わりませんのでそちらをご参照いただければ幸いです。Albergue、hostal(hostel), pension, hotelなどがあります。 (⇒宿選び)
北の道ではSantiago de Compostelaに着くまでの35日間でAlbergueと呼ばれる宿に宿泊したのは13回で、内4回はalbergueの個室に二人で宿泊しています。公営には泊まらず全て私営のため、価格はベッド1台が一番安いところで€15.00から高いもので€33.00でした。
Albergueのシーツについて
2022年はalbergueに宿泊の際には受付で不織布のシーツと枕カバーを渡され、それをベッドに各自セットして、シュラフで寝ていました。
今回、2024年は半数のalbergueで受付で布のシーツと枕カバーが提供されました。そして中には清潔なカバー付きの布団まで付いているところもありました。パンデミックが収まり、albergueによってコストに見合った対応をしているようでした。この辺りの情報はホームページやbooking.comなどにも記載がなく、行ってみて初めて分かるのが現状です。
毛布を用意しているalbergueもありますが、使用するしないは個人の判断によります。私の場合は使用せずに自前のシュラフを使いました。最近は巡礼路で南京虫(トコジラミ)の話題が多く聞かれます。シーツ、毛布を使用する際には気を付けるに越したことはないと思います。
今回はポルトガルからの巡礼者と一緒に歩いたため、泊まりはツインの部屋をシェアすることができました。hostalやpensionではツインの部屋は一部屋の価格が最低€35.00から最高が€95.00。Hotelでは最低価格が€55.00から€109.00でした。価格にばらつきがありますが、内容はそれなりに比例すると思います。
Hostal / pension / hotel
Hostalやpensionでは低価格の物件は部屋は個室ですが、バス・トイレは共有です。ただし、ベッドルームの中に洗面台があることが多かったと思います。
Hotelは基本的には個室の中にバス・トイレが完備されています。
また、hostal / pension / hotelのいずれもシーツはもちろんですが、タオル類(バスタオルとフェイスタオル)が付いています。これは、albergueの個室にも必ずついていました。
下記に写真を掲載していますが、ご覧の通り、hotelとhostal/pensionの区別は曖昧です。価格もまちまちですし、内容もhotelよりもhostalの方がコストパフォーマンスが高い所もたくさんありました。丹念にbooking.comを検索すれば質の高いhotal/pensionに低価格で宿泊することができます。
しかし、私としては、巡礼中でもあり、体を休めて翌日また歩き出すためのベッドがあればよいと思います。今回は同行者がおり、なかなか折り合いがつかず、二人でシェアとはいえ、事前の計画よりも高い宿泊施設を選ぶことになってしまいました。これは、バックパックを送るに当たり宿泊先が限定されてしまったことも影響しています。ですので、ベッドのみのalbergueを中心に宿泊先を選べれば1泊€15.00~€18.00で泊まることができます。(公営ならば更に宿泊代を節約できます)
予約について
当初はBooking.comで予約をしていましたが、個室の場合はツインの部屋が少なく、多くはダブルルーム(ベッド1台)になっています。Booking.comでリクエストができますが、リクエストと予約確定は別で、直前になって「リクエストにはお応えできません。ダブルルームしかありません」と返信が来ることもあります。何度かそのような経験をするうちに、電話で直接宿泊所に電話をした方が早くて確実、ということが分かりました。そしてBooking.comで満室でも、電話をしてみると空いていることもありました。「ベッドは必ず2台で!!」としつこいほど念を押して予約していました。
予約で簡単なのはBooking.comですが、アプリで予約が取れない場合は電話してみるのも一つの方法です。
それぞれの価格
Albergue
Hostal / pension
Hotel
海岸沿いは観光地
「北の道」の宿泊ポイントで海に近いところはサーフィンのメッカという場合が多いようです。実際に歩いてみると海沿いにはサーフショップやサーフィンスクール、サーファーをターゲットにしたキャンピング場が多数あります。全体的に物価が上がっていることは確かですが、やはりプラスアルファーとしてサーフィン観光地ということも加味されるのではないかと思います。
サーファーとの宿争奪戦
これらのサーフィン観光地では公営の巡礼者宿以外に宿泊する場合、サーファーとの宿争奪戦があります。週末に重なれば一層宿の確保が難しくなります。カレンダーとにらめっこしながら、週末に重なる日は事前に予約を入れるようにしていました。
キッチン
ほどんどのalbergueにはキッチンが付いています。自分で食材を調達すれば、簡単な料理をして食べることができます。電子レンジ、鍋類やお皿、カトラリーが備わっています。逆に、hostalやpensionにはこのような設備はなく、レストランやバルが併設されているところもあります。場所によっては周囲に商店も他のレストランもなく、宿泊しているところのレストランで食事をする以外に選択肢がない地域もあります。事前にGoogle mapなどで周囲を調べておけば食料を持参したり、前後の宿場を選ぶことができます。
ランドリー
ランドリーは宿に洗濯機・乾燥機が完備されていて自分で洗うタイプや宿の人に預けて洗濯・乾燥をしてもらうタイプ。または設備がなく、町のコインランドリーを使うなど、様々でしたが、2年前と比べると€1.00~€2.00高くなっていたように感じます。洗濯・乾燥で€7.00~€10.00でした。
最初に歩いた「フランス人に道」では毎日ランドリーをしていました。手では絞り切れず翌日までに乾かなかったので、ほぼ毎日ランドリーを使用していました。その結果、7週間弱の間にランドリーだけで日本円に換算して3万円以上かかってしまい、大いに反省しました。今回は2日に1度の割合で、しかもそのほとんどを二人でシェアするようにしていました。
物価について
出発前に「北の道」は全般的に物価が高いと聞いていました。確かに宿代も食費も高く感じましたが、caminoを歩く間にhospitareroや宿の主人たちに話を聞いてみたところ、事情が少し違っていました。2024年の2月ごろから急激に物価が上がり始めたというのです。特に水道代と電気料金が上がり、宿代に大きく影響したと言います。今までの宿代では経営が続けられない、と言うのです。その他、食料も上がっています。その感覚は日本と全く同じで、一般の家庭で「今まで20ユーロで日常の買い物をしていたのが30ユーロでも買えなくなった」と。「すべてが値上がりして上がっていないのはお給料だけ」と言っていたのが印象的でした。
そこで気づいたのが、道中で見かけるガソリンスタンドでのガソリンの価格です。前回歩いていた時には€0.85~€0.95/Lであったのが今(2024年9月・10月)では€1.50~€1.65/Lになっているのです。なんと、日本よりもガソリンの価格が高いのです。ということは、輸送費が上がり、全ての物の価格が上がるということです。これは、スペイン全土で起こっている現象ということでした。
フランス人の道と合流してから
北の道はArzuaでフランス人の道と合流します。
2024年はサンティアゴ巡礼路を歩いた巡礼者は499,242人(サンティアゴ巡礼事務所の登録者数)で、その内の47.38%がフランス人の道を歩いたそうです。更にその内の31.92%がSarriaから歩いています。最後の100kmと言われる区間です。今回、Arzuaで巡礼路が様変わりしたのも納得できます。
宿の予約は取りづらく、レストランは混雑し、ある所では料理が見るからに雑に作られ、雑にサーブされていました。私がこの区間を通過したのは10月下旬。宿のスタッフの中には「もう疲れてウンザリ!」と言葉にする人たちもいました。
Albergueは予約できず、空いているホテルに予約しましたが、ホテルのロビーは大型スーツケースが所狭しと並び、朝出かける時間にはマイクロバスや大型タクシーが多数玄関で待機しています。ホテルの朝食の食堂も目がスッキリ覚めるほど賑やかです。
巡礼事務所をはじめ、日本の友の会でも100kmを歩くならSarria以外のルートを奨励しています。
自分と彼らは何も変わらないと思っていますが、”巡礼路”を心静かに歩きたいと思う方はルート選びを慎重にすることをお勧めします。
記事に記載されている情報、価格などの数字はは2024年9月10月現在のものです。渡航の際は最新情報をご確認ください。