四国八十八か所か所の霊場を巡るお遍路は配偶者が5年前から少しずつお参りをしていました。
パンデミックで少し時間がかかりましたが、この度八十八番目の大窪寺に詣でて結願することになり、その後高野山に行くというので、同行することにしました。
4月中旬、香川県さぬき市にあるお遍路交流サロンから出発です。
お遍路交流サロンの向かい側にある道の駅「ながお」で鯖と茗荷の酢漬けがのったお寿司を食べてからスタートしました。


当日の天気予報はお昼過ぎから弱い雨でしたが、降っても1~2mmほどになっていたので、女体山を越えて大窪寺へ行くルートで目指しました。
県道3号線(志度山川線)を暫く歩き山王バス停の先からお遍路道に入ります。標識があります。
県道を離れると気持ちの良い里山の風景の中を歩きます。途中、キンポウゲやヒメオドリコソウ、ヤマブキ、エンゴサク、スミレと色とりどりの花やつくしなど春の風景の中を行きました。舗装された歩きやすい道です。




1時間20分ほどで山道に入ります。標識があり、女体山まで1,138mとありました。ここまでは雨も降っていませんでしたが、山道に入ってすぐにポツポツと雨が降り出しました。少し気になったのは雨の音がポツポツではなく、パツパツと当たる音です。
山に入ってからの道も整備されています。所々に椿の花が道落ちていて風情がありますが、どんどんと山深く入っていきます。
登りが続きます。そして、山道に入ってから30分ほどでとうとうパツパツが大きなバラバラとなって霰が降ってきました。それは一瞬の出来事で、急に風が強くなり、みるみる地面に白い霰の粒が落ち、跳ねて、積もっていきます。手に当たると痛いくらいです。気温もぐんと下がったようで、手がかじかんで真っ赤になってきました。




登り、強風、寒さ、霰と最後の遍路に相応しい修行の道です。
尾根に出てきましたが霰と雲で先があまりよく見えません。そんな中、突如目の前に岩山が現れました。どうやら、この岩登りをしないと山頂へは行かれないようです。
霰は降り続いていますし、岩場が濡れて滑りやすそうです。そして体が揺れるほどの強い風が吹いています。さすがに八十八か所を巡ってきた配偶者は落ち着いており、ここで先ずは落ち着いてトレッキングポールをしまい、両手を使えるようにしてから岩場に取りつきました。距離としてはほんの僅かであったと思いますが、かじかむ手でよじ登るようにして岩場を越えました。
必死の思いで岩場を越えると山頂は直ぐそこでした。岩場のとりつきから山頂の東屋までは時間的には20分足らずでしたが、とても長く感じました。
山頂には雨風をしのげる東屋があり、そこで一旦荷物を下ろして一息つきました。今回の旅で初導入した”井村屋のスポーツようかん”でエネルギーチャージです。
少し落ち着てから心配になってきたことが、この先の下りが同じような険しい岩場だったらどうしよう、というものでした。
それでも、もう一度トレッキングポールを準備して歩き始めました。雨も小降りになりました。
幸い、続く道のりは整備された穏やかな下りでした。歩き始めは雲と霧で先の見通しが悪かったものの、徐々に霧が晴れて行き、雲も切れてきました。雨も止んできました。


残り僅かと思われる頃に道に赤い文字で「結願」と書かれた札がありました。いよいよゴールが近いようです。この辺りも丸太で足場が整備されています。
ほどなく、眼下にお堂の屋根が見え、大窪寺に到着しました。雨も霰もいつの間にか上がっています。


到着してホッとしたのも束の間、先ずは本堂にお参りします。配偶者はお経をあげます。
続いては大師堂を同じようにお参りします。
社務所で御朱印をいただき、これで八十八か所霊場のお遍路は無事に終了です。感慨無量です。


境内では、同じように歩いて到着した方がいらっしゃいました。お話しを聞くと、やはり女体山で霰にあい、「もうダメかと思った」と言っていました。それでも歩き終えた者同士、お互いの無事と結願を祝福しました。
境内をゆっくりと散策し、西側の山門近くにいらっしゃる弘法大師の像を写真に収めました。
山門を出てからは門前の茶店に入りました。この日は気温が低かったからと、店内ではストーブが焚かれていました。お店の方に勧められるままストーブの横で温まりながら、お店の名物の「打込みうどん」を待ちます。
打込みうどんは鉄鍋で出てくる白味噌仕立ての熱々のおうどんで、餅、豆腐、油揚げ、人参、ネギ、しめじなどが入り、柚子の香りと少しばかり小口の唐辛子が入ったとても美味しい、冷え切った体を温めてくれる逸品でした。


道中、雨は覚悟していましたが、まさかの霰にあい、必死の思いで歩き通した四国お遍路、最後のお寺、大窪寺への道。忘れられない思い出になりました。

Instagramに動画を掲載しています。合わせてご覧いただければ幸いです。 四国・大窪寺