2022年はそもそもの荷物の選び方で大苦戦しました。Hiker’s Depotの土屋さんをはじめ、スタッフの皆さんの助けていただいて何とかスタートできました。今回は、前回の教訓からチャレンジ&いくつかの新しいものを導入をしてみました。
また配送についても新しい試みをしました。
荷物の軽量化
着替えは一組プラス部屋着。フリース1枚。ウインドブレーカー1枚。そして、大きな変更としては雨具を変えました。上下の雨具を止めて、ポンチョ(Trail Bum, Hiker’s Depotで購入)と膝下までの登山用スパッツ(mont-bell GORE-TEX ライトスパッツ セミロング)を持ちました。傘はmont-bellのロングテイルトレッキングアンプレラ(152g)を街中用として持ちました。
雨具変更のメリット・デメリット
ポンチョのメリットは何といっても、重量とカサが減ったことです。また、ポンチョは着脱が簡単で、雨粒を払えば、バックパックに引っかけて歩きながら乾かすこともできます。汚れても洗濯も簡単ですし、干すのも簡単です。多少の雨ならば、スパッツを装着しなくてもポンチョだけで対応できます。
デメリットは風に弱いことです。風で捲れてしまうことも度々でしたが、着方と抑え方でかなり改善できます。私はポールを持って歩きましたが、両脇にある縫い目の先端をポールを持つ手に絡めて両方を持てば、風でバサバサする現象は軽減されます。
もう一つのデメリットは、人一人がやっと通れるような植物に覆われた道を通るときに枝や枝の棘に引っかかることです。無理に進めば破れてしまうので、後戻りして絡まった枝や棘を外しながら進まなければならないことです。今回は補修のテープも持っていなかったので、このような状況の時には時間をかけて気を付けて歩きました。
更にもう一つ付け加えるならば、素材が軽いので、フードが安定せず、顔回りにピッタリとフィットさせてもツバの形が保てないことです。このため、私は下にキャップを被り、キャップのツバとフードを固定して歩きました。当初は手持ちの短い帽子クリップを使いましたが、紐が視界に入ってしまうので、途中の文具店でダブルクリップの2つ購入して(ちょっと恰好は悪いのですが…)、キャップのツバにフードを固定していました。
登山用スパッツについては、今回は既に持っていた膝下の物を使用しましたが、ポンチョの裾とスパッツの間にちょうど10㎝程の隙間ができます。雨が強い日にはちょうどそこだけが濡れてしまします。山用のパンツを穿いているので、すぐに乾きますが、もう少し長ければもっと快適だったと思います。
今回「北の道」を歩いたのは9月中旬から10月末までです。気温もあまり下がらず、雨具を防寒具として使用する必要もまだありませんでしたが、途中で巡礼者は予定を見直すように、という警告が出るような嵐の日もあり、またガリシア地方に入るころには相変わらずの雨続きで苦戦する日もありました。そんな雨が長い時間続く日にはやはり上下の雨具の方が快適に歩けます。ただし、お天気が頻繁に変わるような日で、何度も脱着を繰り返す場合にはポンチョはとても便利でした。
どちらもメリット・デメリットもあり、ここはそれぞれの好みが分かれるところだと思います。
タオル
2022年のフランス人の旅での数々の失敗の1つに、タオルのミスチョイスがありました。薄手のガーゼ地のタオルはなかなか乾かず苦戦しました。今回はマイクロファイバーの速乾・超吸収のバスタオルとフェイスタオルを持ちました。結果としては、重さはほぼ変わりませんでしたが、速乾といっても翌朝まですっかり乾かないこともあります。そして大きさもバスタオルではなく、フェイスタオル2枚でもよかったかなと思いました。
ハンカチは前回はタオルハンカチを持ちましたが、今回はmont-bellのクイックドライ・ハンドタオル(1枚20g)を使ってみました。こちらは薄くて軽量、洗って干しておけば翌朝にはしっかりと乾いているのでとても重宝しました。
入浴関連としては、S字フックは今回も役に立ちました。また、シャンプー・リンスはあるところと無いところがあります。シャンプーだけでも小さな小瓶が一つあると便利だと思います。
履物
前回はクロックスのサンダルを持ちましたが、今回はスポーツサンダルにしたため、重量はあまり変わりませんが、大きさは半減しました。ただし、濡れた足で履けないため、シャワーの時に少し困りました。ほとんどのalbergueのシャワー室には足拭きがありません。自分のバスタオルで拭けば済むのですが、洗濯の頻度などを考慮してバスルームにペーパータオルがあれば、とりあえずそれで拭いてからサンダルを履くなど、慣れてくれば特に問題はありません。しかし、巡礼者の中には、シャワー専用に薄いビーチサンダルを持っている人も結構見かけます。荷物に余裕があればそれも良いかと思います。
ストック
2022年のフランス人の道ではmont-bellアルパインポール カムロック アンチショックS (225g)を使用しました。その後のポルトガル人の道では100kmということもありmont-bell U.L.フォールディングポール100(149g)を使用。そして今回は距離も長いのでフランス人の道の時に使用したルパインポール カムロック アンチショックSにしました。
高低差もあったのでこちらを使用して良かったと感じています。使い始めにはしっかりあったポイントプロテクターの溝は、巡礼が終わってみればツルツルに跡形もなくなっていました。
前回も記載しましたが、小柄な私にあうストックは巡礼路では入手困難です。小柄体系の方は事前に準備して持っていくことをお勧めします。今回一緒に歩いたポルトガル人の女性は身長は私とほぼ同じ。スペインに来てから購入したため、合うものが無く”とりあえず良さそうな折り畳み式ストック”で歩きましたが、長くてもてあまし、振り回した勢いで私の顔に当たり、私は口の中を切るというアクシデントがありました。その後もプロテクターが付いていなかったため、振動で肘を痛めたりと、合わないギアを持つことのリスクをひしひしと感じる一件でした。
パッキングも変更
シュラフ(NANGA UDD BAG 380DX)は同じものを持ちましたが、今回はドライバックに入れました。大きさは少し大きくなりましたが、出し入れし易いこと、また、シュラフ以外もそれぞれをジップロックやドライバックに入れました。2022年はバックパックそのものの中に大きなビニール袋を入れていましたが、今回この方法をとったのは、ジップロックに入れると圧縮されてカサが減ることと、出し入れの度にガサゴソと音がしないためです。2022年の巡礼では宿で早朝または夜既に寝ている人がいるなかでのパッキングの際に、ビニールやプラスチックの音がとても気になりました。今回はそれを軽減するために方法を変えてみました。多少音はするものの、前回よりもずっと気にならなくなりました。
バックパックの配送
様々な軽量化や物を選んで持つことに心を砕いてきましたが、最低でも35日、一日平均すると25㎞をバックパックを背負って歩く自信はなく、最終的にはバックパックの配送を頼むことにしました。理由はポルトガル人の道(TuiからSantiago de Compostela)の時と同様で、調べた結果北の道でも配送業者が少なく、その場での手配ができるかが不安でした。そのような状況でスペインの郵便局(Correos)が運営しているPAQ Mochilaが北の道の全行程を網羅していることが分かりました。更に、事前に手配できる事や、一定の区間以上もしくは全行程(5区間だったと思います)を事前に予約すると割引があります。事前に手配といっても、契約時には初日の日付と宿泊先さえ決めておけば、その後の宿泊場所や宿泊日は前日までに決めればよいのです。
私はこのシステムを使って、スペイン渡航前に全行程を予約しておきました。料金は全行程で€248.28(35日で計算すると1回あたり約€7.00です。価格は2024年9月現在)、前払いです。
PAQ Correosのシステムは以下の通りです。
*事前にCaminoの選択と開始日、宿泊所を選んで契約します(クレジットカードの入力もあります)
*予約が済んでいれば1日目の配送分から(実際の予約は前日まで)ネットで手続きをします
*前日の午後8時までに次の日の宿泊所を決めてネットに入力します
*事前に送られてきたカードに宿泊所名称、地域、日付を手書きしてバックパックにつけておきます
*あとは、宿泊所の決められた場所に、決められた時間までにバックパックを置いておきます
(事前に送られてきたカードは10日分しかありません。事前に自分で複数枚を用意するか、なければ適当な紙に書いて入れておけばそれでも大丈夫です)
注意点がいくつかあります。
CorreosのPAQ Mochilaシステムには配送先リストがあります。事前に自分の選ぶ宿泊所がそのリストにあるかどうかを調べなければなりません。リストに無い場合は、事前に宿泊先に連絡をして受取の許可をもらい、許可がある旨を自分でCorreosに通知しなければなりません。また地域によってはこちらから連絡を入れても配送を受け付けないと、断られる場所もあります。
配送を受け付けない地域として、例えばZamudioという町があります。手前のLezamaで宿が取れなかったため、3㎞先のZamudioを予約したのですが、バックパックの配送を一切受け付けない、と言われました。宿泊所だけでなく、近隣のbarに留め置きすることもできませんでした。仕方なくBilbaoまでバックパックを送り、歩きました。詳細はエッセイで書きますが、事前にCorreosのリストをチェックをする事が重要だと痛感した場所です。
運ぶ荷物の最大重量は15kgと決まっています
また、1日の輸送距離は60km以内です(2024年は50㎞でした)
その他、ホームページには事前予約などのメリットや注意事項が書かれていますが、頻繁に変更があるようですので、最新の情報をお確かめください。
記事に記載されている情報、数字、価格などは2024年9月10月現在のものです。渡航の際は最新情報をご確認ください。