初秋の尾瀬を歩く

歩き旅

鳩待峠から大清水までを山小屋で一泊し、二日かけて歩きました。

行程

1日目 距離10.9㎞  約4時間

鳩待峠 - 山の鼻 ー 牛首分岐 - 東電小屋 - 見晴 第二長蔵小屋に宿泊

2日目 距離15.3㎞  約6時間

見晴 - イヨドマリ沢 - 沼尻 - 長蔵小屋 - 三瓶峠 - 一ノ瀬 - 大清水

尾瀬までのアクセス

東京のバスタ新宿から季節運航の「尾瀬号」で尾瀬戸倉まで行きました。6時35分に新宿を出発し、途中2回高速道路サービスエリアに立ち寄った後、11時前に尾瀬戸倉に到着予定のバスです。当日は平日ということもあり、予定よりも30分ほど早く、10時30分には尾瀬戸倉に到着しました。尚、尾瀬号の運航は2025年は5月23日から10月19日までです。

尾瀬戸倉から鳩待峠へは乗り合いバスに乗り換えて行きますが、この乗り合いバスは尾瀬号からの乗り継ぎ便になっています。

帰路は大清水バス停からバスタ新宿行きの尾瀬号を利用しました。大清水15時発を予約していましたが、1便前の13時10分が間に合ったため、電話で予約の変更をしました。沼田営業所へ直接電話することで変更ができます。バスのドライバーの方へ申告しても対応できないため、事前に自分で営業所への連絡が必要です。

鳩待峠

多くのハイカーの出発点である鳩待峠ですが、2025年8月1日から休憩所は「はとまちベース Cafe & Shop by 星野リゾート」として新たに開業しています。カフェや軽食、土産品などが置かれています。また外では以前鳩待休憩所で販売されていた、花豆ソフトクリームが引き続き販売されています。

今回は利用しませんでしたが、鳩待山荘は2025年9月1日より「LUCY尾瀬鳩待 by 星野リゾート」として営業しているそうです。

元の鳩待待合所は無料休憩所の形で残っていました。以前の鳩待峠は分かりませんが、大きく変化したようです。

鳩待峠から尾瀬ヶ原、見晴地区へ

快晴のハイキング日和になりました。鳩待峠で身支度を整え、花豆ソフトクリームで気合を入れて出発しました。

至仏山荘までは森の中の木道を歩きます。木漏れ日の気持ちよい森と沢を渡る道です。途中で濃い紫色の花が目につきます。鈴なりに咲く花が気になって仕方ありません。調べてみると、トリカブトの花でした。このトリカブトはこれから二日間至る所で見かけることになります。最盛期でした。尾瀬沼ビジターセンターの方に伺ったところ、トリカブトは花・葉・茎・根にも毒があるので触らないでください!とのことでした。

そして、ついに尾瀬ヶ原に出ます。正面には遠くに燧ヶ岳を望み、振り返れば至仏山がなだらかな山容を見せています。足元にはリンドウやウメバチソウ、そして草紅葉も既に始まっています。

トリカブト。花も花粉も茎も葉も、そして根にも毒があります。触ってはいけません!

池塘のヒツジグサの葉も紅葉しています。少しだけですが、まだお花も咲いています。

鳩待峠から牛首まで、ゆっくり歩いて約2時間です。池塘に映る燧ヶ岳、仕事を終えた歩荷さん、沼を流れる澄んだ水と飽きることはありません。牛首の分岐にはベンチが設置されているので少し休憩します。2時間の間に燧ヶ岳がかなり近づいてきました。

牛首は竜宮と東電小屋方面に向かう分岐になっています。ここでは東電小屋方面に向かいます。

尾瀬ヶ原周辺の木道は、修繕した部分に”TEPCO 2024″や”TEPCO2025″など年号と共にFSCのマークが入っています。調べてみるとFSCはForest Stewardship Council 森林管理協議会のことで、国際的な森林管理の認証だそうです。東京電力は2010年にこの認定を受けています。その証としてマークが焼き印されているようです。このエリアは全体がとても良く整備されていて、木道も随時改修されているようです。この日も何か所かで改修工事が行われていました。

牛首からも尾瀬ヶ原を歩きます。ヨッピ橋を越え、東電小屋、三条ノ滝と見晴との分岐までくれば見晴地区までは0.8㎞です。

鳩待峠を出発してから約4時間。予定通り見晴に到着しました。素晴らしい景色や刻々と近づく燧ヶ岳をみながらのハイキングは、平ら木道がほとんどで快適ではありますが、やはり長い道のりでした。

見晴地区から沼尻、三平峠経由で大清水まで

2日目は山小屋から尾瀬沼を通って大清水バス停までの行程です。早朝の尾瀬ヶ原は朝靄に包まれていました。この地域全体が羽衣をまとったようです。燧ヶ岳の上にかかる雲は未だ出ぬ朝日に照らされて黄金色に輝いています。

至仏山は真っ白な霧と雲に覆われていたかと思うと、突然うっすらとその姿を現します。そして、次の瞬間にはまた真っ白い幕の向こうに消えてしまします。

木道は靄に包まれて徐々にフェイドアウトしています。

山小屋で美味しい朝食をいただいて、6時30分に2日目の出発です。

見晴地区から直ぐに森に入ると、鹿が木道の上で朝ご飯の最中でした。人馴れしているためか、一向に逃げる気配もなく、朝食の邪魔をされて気分を害しているようです。話しかけながら少しずつ近づいていくと、木々の間に入ってくれましたが、私たちが通り過ぎるのをそこで待っているようでした。

見晴から尾瀬沼までの道は、木道は敷かれていますが、TEPCO管轄ではないようで、古い木道が続きます。しかし、道はちゃんとついていますし、迷う事も、足を取られることもなく歩くことができます。この行程は開けた沼地と森が交互に出てくるコースです。

尾瀬沼の沼尻には休憩所があり、沼を渡って吹く風も爽やかです。今回は開けた平地を歩く際にハイキング用の日傘を持ってきました。休憩の際にも強い陽ざしを遮るのによかったと思います。

沼尻から長蔵小屋や尾瀬沼ビジターセンターがある地域の間のひらけた所から森が見え、少し小高い丘に黄色い花が群生していました。この時期は既にニッコウキスゲは終わっているので何か分からず、ビジターセンターの方に聞いてみました。私達が館内を見学している間に双眼鏡を持って見に行ってくださったようで、その黄色い花はハンゴンソウであると分かりました。また咲いている場所は長蔵小屋を創設した平野家の代々のお墓がある所だと教えてもらいました。

長蔵小屋の売店で休憩をしてから最後の行程を歩きます。ここからは森に入り、三平峠まで登りが続きます。木道と山道が交互に出てきます。また、植生も沼地とは全く違っています。三平峠を越えればあとはずっと下りです。沢が近づくとゴロゴロとした石道を下っていきます。ここはストックを出して使いました。

長蔵小屋売店
尾瀬沼ビジターセンター

沢の音が大きくなってくればそろそろ一ノ瀬です。豊かな水の流れの先には人工の堰があります。

一ノ瀬バス停には定時運行のバスが待機していましたが、時間が合わなかったので、大清水まで歩いて下りることにしました。

大清水到着は朝に小屋を出てから約6時間経っていました。長い行程ですが、変化する景色の中では長さも疲れも感じることなく歩ききることができました。

山小屋事情

今回は第二長蔵小屋に宿泊しました。三連休明けということもあり、宿泊者は3名のみでした。

部屋は二人以上は原則個室で、シーツこそありませんが敷布団と掛け布団、毛布が用意されています。枕と枕カバーもあります。

このエリアの山小屋にはほとんどお風呂も付いているそうで、第二長蔵小屋は1つのお風呂を時間で分けて男性・女性が利用します。それぞれのお風呂がある小屋もあるそうです。シャンプーは使えませんが、石鹸は使用可能です。

食事は、他の小屋は分かりませんが、夕飯は煮物、揚げ物、サラダ2種類、お漬物など盛りだくさんと温かいご飯とお味噌汁。そしてシュークリームのデザート付きです。朝食も焼き魚、厚焼き玉子、あえ物、煮物とご飯とお味噌汁。果物付きです。至れり尽くせりのメニューだと思いました。

最近、YourTubeで人気のお隣りの尾瀬小屋のカフェにも行ってみました。人気はフレンチトーストとステーキ丼だそうです。私達は小屋での食事があったので、おやつに季節限定の巨峰パフェを食べてみました。ふんだんに入った巨峰とバニラアイスが美味しいビックなパフェで、歩き疲れた体に染みわたる一品でした。

殆どの山小屋はインターネットで予約することができます。また、支払いもネットで事前に行うことができるので、スムーズにチェックインすることができます。

第二長蔵小屋にWiFiはありませんが、充電するためのスペースがあり、充電用のコンセントが用意されています。

第二長蔵小屋
元祖長蔵小屋

トイレ事情

長時間歩くときには気になります。ガイドブックや観光イラストマップになどに掲載されていますが、所々にちゃんと公衆トイレが完備されています。

今回のルート上では鳩待峠、至仏山荘前、東電小屋前、見晴地区、沼尻、尾瀬沼ビジターセンター前、一ノ瀬、大清水と困ることはありませんでした。どこのトイレも水洗、きれいに清掃されていて紙も付いています。それぞれの場所のトイレの入り口には”トイレチップ箱”が設置されており、協力金100円から300円と書いています。

多くの人が訪れる尾瀬ですので、協力金を払う、きれいに使うなどは環境を守るために一人一人ができることです。公衆トイレの場所を事前に確認してルールを守って使うのはこの素晴らしい自然を後世に残すための小さいけれど大切な行いだと思います。

au Starlink Directを試してみました

auを利用しているので、今年から利用できるようになっている「au Starlink Direct」が使えるかを試してみました。

最初の設定が分からず、auショップで確認してもらいました。使用しているのはau Starlink Directが利用できるギリギリのバージョン、iPhone13です。

衛星通信がONになっているかを確認できる画面がなかなか見つけられませんでしたが、SIMをau以外のeSIM追加していたために確認画面がなかなか見つからなかったと分かりました。SIMの主回線をタップすると次の画面で”衛星通信”の欄が出てきました。ONになっている事が事前に確認できました。

森の中の空が開けている場所で通常の電波が届いていない事を確認しました。同じ場所で暫く待っていると、アンテナマークが立つべきところが点になっていて、電波を探しているようです。2分ほど待っていると、アンテナマーク横に「衛星」と出ました。しかし、試しにLINEでメッセージを送ろうとしていると、またアンテナマークが点になってしまいました。LINEのメッセージは送れずじまいでした。

ここで分かったことは、Starlink Directが使えても、サクサクとデータが送れる訳ではないこと。衛星が頭上にきたタイミングでデータが送れる、という事のようでした。YourTubeの解説でもありましたが、データが送れるチャンスが増える、という認識の方が良いのだと思います。

それでも、自分のスマートフォンがちゃんと対応していることは確認できたので、今回はこれで是としたいと思いました。

衛星の表示がでました

リベンジトレッキング

実は今回は30年ぶりの尾瀬でした。前回は夜行バスで行き、雨の中、ひたすら木道を見つめて長時間歩いた記憶しかありません。景色も全く覚えていませんし、燧ヶ岳や至仏山も多分見えなかったのだと思います。記憶にありません。

満を持して出かけた尾瀬は、晴天に恵まれて素晴らしい景色で迎えてくれました。「本当はこんな姿よ」と言っているようです。

連休明けの平日、人も少なくのんびりと心ゆくまで堪能した尾瀬。再度訪れたいと心から思える歩き旅になりました。

ハイキングの楽しみの一つはそれぞれの場所のソフトクリーム
尾瀬小屋季節限定の巨峰パフェ

今回の動画をInstagramに掲載しています。そちらもご覧いただければ幸いです。 尾瀬Day1 尾瀬Day2