熊野古道・中辺路を歩く

歩き旅

2023年5月 熊野古道の中辺路を歩きました。

スペインのサンティアゴ巡礼の後、サンティアゴ・デ・コンポステーラと熊野古道の両方の巡礼を達成した人に贈られる「二つの道の巡礼者」の称号があると知りました。このDual Caminoを達成する熊野古道巡礼路の一つを歩くことにしました。

Dual Camino

「二つの道の巡礼者」と認定して頂くためには、定められたいくつかのコースから選んで歩き、道中で共通巡礼手帳にスタンプを押していきます。最後は熊野本宮大社の札所横にあるスタンプを押して完了です。私は事前に田辺市観光センターから共通巡礼手帳を郵送してもらいました。その際にルートマップも同封して頂き、それを見ながら歩きました。

熊野古道の共通巡礼手帳とSantiago de Compostelaのcredencial.

ルート 中辺路コース

Day1 南紀白浜に到着後滝尻王子から熊野高原神社まで 距離 約3.9km

Day2 熊野高原神社から継桜王子まで  距離 約14km

Day3 継桜王子から熊野本宮大社まで  距離 約21.3km

日程を組む

当初は1泊2日で歩く予定でした。

滝尻王子に昼前に到着して、そこから近露王子まであるき、翌日に本宮大社まで一気に行こうと思っていました。

田辺市熊野ツーリズムビュローに電話したところ、計画を聞いてくださった担当者の方から「その日程はかなり大変なので再考した方が良いのでは」と強くアドバイスされました。

理由は、

  • サンティアゴ巡礼路と違い山道が多いこと
  • 地域柄、雨の日が多いため天候によって長く歩く事が困難になる可能性があること
  • 途中で一般道などに下りれない箇所が多いこと

でした。

アドバイスは、

1日目は起点の滝尻王子から高原まで。

2日目は熊野高原神社から継桜王子まで。

3日目は継桜王子から発心門王子まで。

4日目は発心門王子から本宮大社までという行程です。

荷物

今回は全部で4泊5日の荷物を用意しました。それぞれの宿泊施設にアメニティやバスタオルがある事を考慮して荷物を選びました。

出発時の荷物は4.5kgでした。

DAY1 滝尻王子から高原 約3.9km  

標高  最低 約85m(滝尻王子)   最高 約370m (剣ノ山経塚跡)
同じ失敗を繰り返す😕

南紀白浜空港は天気予報と異なり、快晴でした。

空港からバスに乗って1時間半で滝尻に到着します。ところが、バス停到着の10分前からパラパラと雨が降りだし、雨具をどうしようと迷っているうちにバス停に到着。と同時に大雨になりました。滝尻の案内所で身支度をすれば良いと考えていた為、またしても傘を直ぐに取り出せず大慌てをしました。「雨具は直ぐに取り出せる所にしまう!」の教訓を活かせなかった痛恨のミスでした。

滝尻の観光案内所、熊野古道館で雨具を着用、身支度を整えていざ出発です。午前11時20分でした。

強い雨ではありませんでしたが、パラパラと降ったり止んだりを繰り返す山のお天気の中を歩く事になりました。滝尻王子のお社の横を通り抜けるとそこから急登が始まります。一気に上がる感じが続きます。

雨で足元が悪くなかなか進みません。岩や木の根が出ている山道を登って行きます。

歩き始めは雨...
石段と登りが続きます

30分ほど歩いた所で胎内くぐりの岩があります。せっかくなので、生まれ変わりを体験しました。雨のため中は濡れていて膝をつく所も水溜りになっておりなかなかの難産でした。

道中は休める所は余りありませんでした。王子や◯◯茶屋跡といった所も休憩できるようなところがあまりありませんでしたので、立ったまま荷物を下ろして休憩を取りながら歩きました。

飯盛山まできたところで遠くで雷が聞こえ、雲が近づいてきたので先を急ぐことにしました。

午後1時半頃に高原の休憩所に到着し、そこで少し遅い昼食をとりました。ここは眺望も美しく、遠くに山並みが見えますが、山の上、山の間に雲がたなびいて幻想的な風景です。

眼下には棚田が広がり、水車小屋もあります。カエルの合唱をBGMにお弁当を広げました。あずまやでも建物の中でも休憩可能でトイレも完備されており、飲み物の自動販売機もあります。

事前に調べた際にはお弁当を調達できる場所がなかったので、羽田空港でお弁当を買ってきました。南紀白浜空港で美味しそうな牛丼弁当や鮎寿司がありましたが、数は少なく日によっては買えないかもしれないということでした。お菓子パンはありました。また、滝尻の案内所前の民宿「あんちゃん」では、カップラーメンとお菓子パンならばあるということでした。

高原の休憩所からみた風景
カエルの合唱のBGMでお弁当をいただきました

お昼の後、熊野高原神社に参拝しました。小さなお社ですが、お社にはおみくじもありました。こちらはお社の隣の建物の中にスタンプがありました。

この日は「霧の里たかはら」で宿泊です。宿に着いた時にはお天気もすっかり回復していました。雨の中での山歩きは思った以上に体力を消耗しますし気持ちがめげます。田辺市熊野ツーリズムビュローのアドバイス通り、初日は高原まででよかったとしみじみ思いました。

霧の里たかはらは」とてもインターナショナルな宿で、この日は私達以外の宿泊客は全員外国からの旅行者でした。お料理はオーガニックの食材を使用しており、締めが熱々の揚げ出し豆腐に柑橘のシャーベットのデザートととても美味しく、見た目も美しく、楽しいディナーでした。デザートを頂きながら聴くオーナーのギター演奏も素敵でした。

朝食はしっかりとご飯にお味噌汁とバランスの良いおかず。お弁当も用意して頂きました。

1日目は滝尻王子、不寝王子、高原熊野神社をお詣りしました。

DAY2 高原から継桜王子 約14km 

標高  最低 約270m(近露王子)   最高 約700m(上多和茶屋跡付近)

アップダウンを繰り返す長いトレールになります。お天気は良く、お昼頃からは気温も上がってきました。和歌山県の最高気温はこの日28度になりました。

山を越え、谷を越え、川を渡りを繰り返すコースです。

濃くなってきた緑の中、お花は少ないものの、サワガニがいたり、苔を見ながら進みます。

大門王子、十丈王子、大坂本王子を通ったところで車道があり、道の駅「熊野古道中辺路」があります。ここのベンチでお昼食。宿で作ってもらったお弁当をいただきました。

山の中で木陰があるとはいえ、余りの暑さに道の駅に着いてすぐにソフトクリームを食べましたが、初めて食べた「梅のソフトクリーム」がとても美味しかったです。

日置川を越えると近露に入ります。川を渡って直ぐの所に近露王子があります。休憩するベンチなどもあり、近露王子の碑を見ながらゆったり過ごすことができます。

この集落を抜けると分岐があり再び山道に入ります。この分岐にNSCafeというカフェがあり、シソジュースを飲んでみましたが、シソの香り高く、サッパリしていて炎天下歩いて来てバテ気味だった体が復活しました。

比曽原王子を経由して1時間程で継桜王子に着きました。継桜王子では朱色のお社があり、またとても立派な杉が何本かたっています。とても厳かで気を感じる場所でした。

継桜王子のお社

継桜王子から100m位先には秀衡桜があります。今日はここまででストップです。

宿泊は古民家宿HAGIです。オーナーの方が20分程の所にある「わたらせ温泉」に車で連れて行って下さいました。女湯はプールのような大きな露天風呂が4つあり、私が行った午後4時半ごろは独占状態で入浴することができました。しっかりとリフレッシュすることができました。

夕食は各々が炭火でBBQ。海の幸山の幸を楽しみました。

2日目は大門王子、十丈王子、大坂本王子、牛馬童子、近露王子、継桜王子、秀衡桜をお詣りしました。

Day3 秀衡桜から熊野本宮大社 約21.3km  

標高  最低 60m(大斎原) 最高 670m(う回路の峠)

お天気が良かったため、継桜から一気に熊野本宮大社まで歩くことにして7時過ぎに宿を出発しました。

ここではわらじ峠、う回路のピークと三越峠の3つのピークを越えていきます。

宿を出発して直ぐ、石垣に蛇を発見しました。道中「マムシに注意」の看板がいくつもありましたが、まさか本当にへびに出会うとは思っていなかったのでとても驚きました。気をつけて歩かなければと再認識しました。

今回の歩き旅では、既に花の時期が終わって新緑も濃くなっていましたが、熊瀬川王子のそばでギンリョウソウを見つけました。テレビや写真ではみたことがありましたが、実物は初めてで、別名のユウレイタケの方がしっくりするような不思議な植物でした。花茎と花が共に白く、調べたところ色素がない植物ということでした。

思わず後退りする出会い
ギンリョウソウ 別名ユウレイタケ

熊瀬川王子からう回路に入ります。この日も山を越え、谷を越え、橋を渡っての歩き旅です。

前日同様、気温が上がり、和歌山県の最高気温は29度になりました。森の中でも暑く感じましたが木陰や木々を抜ける風、川のせせらぎに時折ほっとしながら歩きました。

三越峠を越えた所でちょうどお昼になったので、川沿いで宿で作ってもらったお弁当を食べました。緑の中で食べるおにぎりは格別です。

発心門王子を過ぎてからはほぼ平坦な道歩きと聞いていましたし、最初は舗装道路でしたが、この後も山道は続きました(急登はありません)。

今回の歩き旅では、平日ということもあり道中ほとんど人に会うことはありませんでしたが猪鼻王子を過ぎた頃から人が増え始めました。そろそろ旅の終わりが近づいていることを実感しました。

祓殿王子を越えると直ぐに熊野本宮大社の神殿裏の参道に到着です。

朝の7時過ぎに出発してここに着いたのは15時少し前でした。8時間弱の行程でした。

証誠殿、中御前、西後善、東御前、満山社をお詣りして、札所横で本宮大社のスタンプをいただきました。

4日目は蛇形地蔵、湯川王子、猪鼻王子、発心門王子、水呑王子、伏拝王子、祓殿王子そして熊野本宮大社をお詣りしました。

今回の巡礼の道はここで終了です。

エピローグ

本宮大社を参拝した後に「世界遺産 熊野本宮館」で「二つの道の巡礼者」の登録をしました。

そして翌日に再度本宮大社にお詣りし、「共通巡礼達成大太鼓の儀」を執り行っていただきました。これは二つの道の巡礼を締めくくり、熊野の神々や聖ヤコブに感謝の想いを納める儀式です。身の引き締ます想いでした。

Dual Pilgrim » Tomoko Masui

サンティアゴ巡礼に続くバックパックの歩き旅になりました。山道も多く、田辺市熊野ツーリズムビュローのアドバイスを受けながら何とか達成することができました。幸い初日の雨以外はお天気も良く、楽しく歩くことができましたが、雨の中で山道を歩くことの大変さを実感した旅でもありました。

何よりも日本が山国であること、そして古から人々が自然から恵みを受け、畏敬の念を持ち、神々が宿る場所として崇め大切にしてきた事を実感する旅になりました。

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