礼文島 ①

歩き旅

3年前に利尻山に登りました。その時に礼文島にも行きたいと思っていましたが叶わず、いつか礼文島へと思いながら3年が経ちました。

3泊4日の礼文島の旅は、トレッキング1日目に岬巡りコースを歩き、2日目には礼文林道コースでレブンウスユキソウの群生地を回り、その後、桃岩展望台コースをを巡って北のカナリアパークを目指すことにしました。

2回に分けて礼文島のトレッキングについて記します。

岬巡りコース

時期は2025年6月下旬です。

香深港フェリーターミナルバス停を午前7時45分発のバスでスコトン岬まで移動します。所要時間は約1時間です。なお、スコトン岬行きのバスは1日に5本です。(宗谷バスの礼文島路線図・時刻表に付いてはこちらをご覧ください)

資料は2025年6月現在のものです。ご利用の際は最新の情報をご確認ください。

行程 13.7㎞ 約6時間

スコトン岬 → ゴロタ岬 → 澄海岬 → 西上泊神社 → レブンアツモリソウ群生地 → 浜中 → 船泊病院前バス停

スコトン岬からゴロタ岬

スコトン岬からトレッキングがスタートします。 スコトン岬にはカフェ、お土産店そして”最北限のトイレ”があります。(トイレはきれいです)

6月下旬、快晴の日でした。青い空、青い海そしてオオハナウドが咲いています。岬の先端からはトド島が見えます。また先端には「鰊定583」と書かれた標石があります。後日調べたところ、ニシン漁が盛んだったころの遺構で、魚種、網の種類、許可番号で「ニシン・定置網・583号」ということのようです。

爽やかな海風に吹かれながらの出発です。

歩き始めて振り返れば、岬がぐるっと日本海に囲まれているのが良く分かります。先ずはアスファルト舗装された道を行きます。

この辺りはオオハナウドが群生していますが、どれも大きく、まだ咲く前、咲きかけ、そして開花したオオハナウドをそれぞれ観察しました。”オオ”とつくだけあってどれも本当に大きく、特に咲く前の蕾は果実を思わせる形状です。

利尻島から見えていた礼文島は平坦に見えましたが、もちろんそのようなことはなく、トレッキングコースは起伏が幾重にも重なり、それぞれの地点で楽しい光景が広がります。

週末という事もあり、いくつかのグループハイカーが同じ道を歩いています。皆思い思いの場所で記念撮影をしながら、また景色に見とれながらゆっくりと歩きます。

丘の上から海を見下ろしたり、浜に下りて浜沿いを歩いたりとバラエティーに富んだコースです。

そして、「花の浮島」と呼ばれる通り、様々な色の様々な花が咲いています。エゾカンゾウ、レブンシオガマ、ハマナス、バイケイソウ、チシマフウロなどに感動しながらなのでなかなか先に進めません。

トレッキングコースに高い木々はなく、視界が開けているのでこれから歩くルートや、振り返れば歩いてきたルートが見えます。「この道をずっと歩いてきた」という実感が沸きます。

スコトン岬から歩き始めて1時間ほどで、ゴロタ岬に向かう登りに入ります。入口は駐車場になっています。

そこからの景色は圧巻です。山(丘?)の斜面に咲く無数の花々と青い空、そして青い海。真っ青な海に白い軌跡を残しながら行く船。海越しに見える緑の丘。息をのむ景色とはこのことかもしれません。

ゴロタ岬からは山越しに利尻山の頂上付近が見えます。礼文島から見る利尻山は高く、大きく、雄々しく聳え立っています。3年前の決死の登山が思い出されます。

ゴロタ岬から澄海岬

ゴロタ岬から澄海岬までは少しの登り下りの後、ゴロタノ浜沿いに歩きます。時折海に突き出た岩壁を見ながら進みます。

集落が見え始めたらその先が澄海岬です。2件ほどの食堂を通り階段を上がると岬に到着します。澄海岬は海が近く、穏やかです。岬の標識の他にも、休憩用のベンチがあったり、整備された遊歩道がありそこからも海を見渡す景色が広がります。

澄海岬の入り口にある食堂は岬帰りのハイカーで賑わっています。軽食の他、ビールとホッケの焼き魚で一息つくハイカーも。私と友人はマンゴーソフトクリームをいただきました。

ここからは浜中を通って船泊病院前バス停までおよそ30分車道沿いに歩きます。途中でレブンアツモリソウ群生地を通りましたが、既にシーズンは終わっており、群生地への入り口も閉鎖されていました。残念でした。

装備

今回のトレッキングにあたっては、標高も高くなく、距離も13㎞ほどでしたので、折り畳み式のトレッキングポール(mont-bell U.L.フォールディングポール100/149g)を使用しました。このポールは折りたたむとサイズが32㎝ほどになり、バックパックに入れて飛行機の機内に持ち込めます。

バックパックはGossamer Gear Minimalist19を使用しました。バックパックの重さ自体は331gと軽量です。上の締め口が巾着状になっているので好みは分かれるところですが、外側に大きなネットがあり、雨具やお菓子などすぐに必要なものを詰め込んでおけるので気に入っています。ウエストベルトはついていません。

トレッキングシューズはAKUフライロック GTX W レディース ハイキングシューズを使用しました。ファストハイキング用のローカットシューズですが、底が比較的固くなっています。以前使っていたトレッキングシューズよりも固く、当初は歩き終わった後で足首が痛く感じることもありましたが、今では足に馴染んだようで快適に歩けます。

初めての雨具

今回は初めて使う雨具を持参しました。RabのPhantom Pull-on(超軽量75g/レインジャケット)です。どのような時期でもトレッキングの際には雨具を持ちます。しかし、今持っているジャケットは”お守り代わり”にしては重量もカサも大きいのです。そのため、Hiker’s Depotで選んでいただき、僅か75gのレインジャケットを購入しました。

Rabは日本に専門の代理店はありませんが、上記のHiker’s DepotやYAMAP、そしてUL製品を置いている店舗にはあるようです。

残念ながら今回の旅での出番はありませんでしたが、急な雨が楽しみになってきました。

僅か75g! 手のひらサイズです
手の甲まで覆うデザインです

礼文島 ロジスティックス

宿泊

今回の宿は香深フェリーターミナルから徒歩3分の桜井旅館にしました。手料理の美味しい旅館です。食事はいずれも美味しく、お夕飯には日替わりで種類の違う”カニ”とウニが付きます。

北海道では冷房が付いていない宿がありますが、こちらも部屋には冷房がありません。宿泊した日はいずれも朝夕は涼しいくらいでしたので問題はありませんでしたが、昨今の地球温暖化による気温の上昇で盛夏のころは暑いかもしれません。

また、お部屋は海側でしたので最初は海が見えて”良かった”と思っていたのですが、深夜にカモメの鳴き声が響き渡り起きてしまいました。カモメが夜行性であるとは知りませんでした。また、晴天になると朝日が当たって熱くなるので、夏の宿泊は”山側”が正解かもしれません。

商店

礼文島の香深フェリーターミナル近辺には商店が1軒しかありません。到着した日に近くの中島商店でお水やお菓子などを購入しました。飲料の自動販売機などはターミナル周辺にありますし、土産店でも少し食料はあります。

北海道の救世主、セイコーマート香深店はフェリーターミナルからは徒歩で30分ほどかかります。2㎞少しありますのでサンダルで、宿泊していた所からはちょっとお買い物という距離ではありませんでした。宿泊先と商店との距離を事前にチェックすることをお勧めします。

トレッキングルートの際のお弁当は旅館の方から紹介していただき、事前に予約しました。当日の朝、指定した時間に旅館まで配達してもらえます。私は1週間ほど前に予約を入れましたが、最短前日でもおにぎりだけならば対応可能という事でした。

今回のお弁当はおにぎりとお惣菜数種類、そしてパックのお茶がついて1,000円でした。

しかし、岬巡りコースではお弁当を広げられる場所がほぼ無く、私たちは礼文西漁港(鉄府漁港)の船着き場をお借りしてランチタイムとしました。

お弁当の他は、スナック類とお水と温かい飲み物を持ちましたが、こちらは事前に用意して持ってきたものです。

購入場所が少ないため、トレッキングの際の行動食などは事前に用意して持参することをお勧めします。

お風呂

宿にも浴場はありましたが、洗い場が3つほどの可愛らしいお風呂場でした。しかし、宿の前に「礼文島温泉うすゆきの湯」がありましたので、3泊のうち2回はそちらに行きました。入浴料は大人600円でした。広々とした浴場と露天風呂もあり、入浴後にのんびりできる広間やソファもあります。

最初に行った時には露天風呂から利尻山が見えていてとても良い景色でした。トレッキングの後の疲れをしっかりとってくれる良い温泉でした。

今回の動画をInstagramに掲載しています。そちらもご覧いただければ幸いです。(礼文島・岬巡りコース