行程 10.2km 5時間28分
すずらん昆虫館前登山口 → 牛奥ノ雁ヶ腹摺山 → 小金沢山 → 天狗棚山 → 石丸峠 → 熊沢山 → 大菩薩峠(介山荘) → 福ちゃん荘(唐松尾根分岐) → 上日川峠 → 上日川バス停
日本で一番長い山名の山。この山を知ったのは偶然でした。
私は良く登山関連のYouTubeを観ます。山行の記録から登山のノウハウ、山道具やウエアの紹介、登山関連アプリの解説や山でのNG行動などの注意喚起まで、15分程度の動画を1日1本と決めて観ています。
大抵は登録してある配信者の動画を観ますが、時々トップページに上がってくる興味がある動画も観るようにしています。
そんなある時、山と渓谷社のスタッフが紹介する「初心者でも行かれるお勧めの山をご紹介!」という動画があり、二人のスタッフが用意したお勧めの山が偶然同じ山で、その山こそが「牛奥ノ雁ヶ腹摺山」だったのです。
何となく興味を惹かれる名前と縞枯れ現象がみられる山、そして山梨県の秀麗富岳十二景の一つとあり、俄然行ってみたくなりました。
名前の由来
調べてみると、水害が多くあった地域で水を止めるために丸太を組んだ護岸の構造物を「牛」と呼んでいたためにその構造物のあった地域の地名に残ったという説や、地形が細長く牛の首に似ていたため、という説など諸説あります。
牛奥ノ雁ヶ腹摺山から縦走して大菩薩峠に向かう途中にも牛ノ寝通りという標識があります。地形的に、牛が寝そべっているように見えるのでしょうか?
縞枯れ
この山の特徴の一つに縞枯れ現象がみられる山とあります。多くのYouTubeでも必ずこの景色が取り上げられています。
実際に行ってみると、森が開けると足元には低い笹が広がり、山の斜面一面に針が刺さったように枯れた木々が真っすぐに立っています。
私が行った時には、霧に煙る山の斜面に枯れた木々がすっくと立ち並んでいます。英語での表現を調べたところ「pincushon-like dead trees」とあり、山の斜面に刺さった針とは、なるほど!と思いました。


天候
せっかくの山梨県の秀麗富岳十二景の一つでしたが、今回は生憎の天候の中を歩くことになりました。予報では曇りでしたが、霧、霧雨、曇りの中の山行となり、富士山、南アルプスはおろか、一つ先の山さえも見えませんでした。
その分、霧に覆われた幻想的な山や尾根を羽衣が流れるようにゆく霧、雫をまとった笹の葉などの晴天とは違った美しい景色がありました。
雨装備で歩く
すずらん昆虫館前の登山口から歩き始めた時には雨降っておらず、曇り空でした。Tシャツ1枚で歩いてちょうど良い感じでした。
山に入るにつれてだんだんと雲が重くなります。霧雨になり、Tシャツが濡れだしたのでパーカータイプの雨具を着ました。
Rab Phantom Pull-Onは購入依頼初めての着用です。僅か75gで、「お守り代わりにいつもリュックに入れておける雨具」として購入したものです。
薄手のためこの時期は暑くなり過ぎない、ほど良いパーカーでした。


登山道を進み、縞枯れ現象の斜面に出るころ、雨が少し強くなってきました。ここでレインパンツを穿くか迷いました。暑くなり過ぎないか心配でしたが、開けた場所があったので、一旦荷物を下ろしてしっかりと装備を整えることにしました。
結果的に、背の低い笹が茂る場所が連続していたこと、また笹薮を抜けた後も足元が悪かったため、ここでレインパンツ着用は大正解でした。
下山の頃にはレインパンツは見る影もなく濡れて、泥がはねていました。

4つのピークを越える
この山行では牛奥ノ雁ヶ腹摺山から小金沢山、天狗棚山、熊沢山の4つのピークを通る縦走を計画しました。最後は大菩薩峠から上日川峠に下りる計画です。当初は石丸峠から下りて木屋平バス停を経由して上日川峠バス停も考えましたが、平日で人も少ないことを想定して大菩薩峠まで行くように、出発前日に変更しました。




誰もいない...
甲斐大和駅からバスに乗りましたが、すずらん昆虫館前バス停で降りたのは私一人でした。一人で歩き出しましたが牛奥ノ雁ヶ腹摺山登山口付近に前を歩いているハイカーが一人。その人を追い越して先に行きましたが、ここからほぼ人に会う事はありませんでした。山の中にもひらけた尾根にも人の気配は全くありません。山の中ひとりぼっち状態です。
突然人が・・・
小金沢山山頂でバックパックを下ろして休憩しました。霧も一層深くなり、雨もポツポツを振っています。相変わらず静かな山頂で暫くボンヤリと休憩していると天狗棚山方面から若者が一人、短パンに半袖Tシャツで颯爽と駆け上がってきました。突然の登場です。
話しを聞くと、彼は中国から来ていてトレランのトレーニングをしているそうです。調べてみたら秀麗富岳十二景・二番山頂、牛奥ノ雁ヶ腹摺山・小金沢山はトレランのコースになっていました。
そして、「景色が見えないのは残念!」と言いながら駆け上がってきた時と同じように、颯爽と駆け下りていきました。
この後、石丸峠手前で逆方向から登ってくる3人のハイカーに出会っただけで、結局上日川峠まで誰とも会うことがありませんでした。
小屋のありがたさ
ハイカーに会う事はありませんでしたが大菩薩峠の介山荘は開いていました。この時は山荘の小屋のスタッフは見当たりませんでしたが、開いているだけでホッとします。トイレ横の屋根付きの休憩所で暫く休憩させてもらいました。
朝からのハイキングでは途中の雨が止んだタイミングで3回休憩しました。
1回目は尾根の上で岩に腰を下ろしてお菓子を食べました。2回目は小金沢山を越えて一旦下る頃に足に力が入らなく感じ、エネルギー不足、いわゆる”シャリバテ”かな、と思いました。一旦落ち着いてきちんとチャージして休んだ方が良いと感じたので、木々の間にある岩に座って荷物を下ろし、おにぎりとお菓子、そして温かいお茶を飲みました。
そして3回目は介山荘横の休憩所で残っていたお菓子とポットのお茶をいただき、ラストスパート前に一息いれました。トイレも使わせてもらいました。このような施設があるのは本当に助かります。
ここから先は以前にも通ったことがある道です。殆どが林道ですし、道はほぼ下りです。
ゆっくりと景色を楽しみながら下山しました。このため、14時発のバスには間に合わず、15時45分まで長い時間待つことになってしまいました。
大菩薩峠から下りればハイカーもいるし、以前にも通っているので選んだのですが、相変わらず人はいません。これなら石丸峠から下っていれば14時のバスに間に合ったかもしなかったのですが、休憩所で休んだことで気持ちにも余裕をもって楽しみながら下山することができました。
長い待ち時間はロッジ長兵衛でアイスクリームを食べながら読書をして過ごしました。


毎回どこかで迷う・・・
一人の山行は自分のペースで歩ける代わりにやはり緊張します。今回は標識もしっかりしていましたし、毎回使うYAMAPのアプリも使用していたので道迷いの心配はありませんでしたが、途中1回だけ、引き返した所があります。
入ってはいけない印のテープが木と木の間に張ってありましたが、右にも左にも道が見つかりませんでした。確認のためテープを越えて少しだけ進んでみましたが、やはりNG道でした。戻って再度よく見ると、右側の岩の下に小さなピンクテープを見つけました。この岩を登るのでした。登った先にはちゃんとピンクテープがありました。
こんなトライ&エラーも勉強です。
行ってみたかった牛奥ノ雁ヶ腹摺山。楽しい山行でしたし、もう一度お天気の良い日に絶景の中を歩きたいと思いました。リベンジ確定です。










今回の動画をInstagramに掲載しています。そちらもご覧いただければ幸いです。牛奥ノ雁ヶ腹摺山