秩父霊場を巡る歩き旅 其の三

歩き旅

梅雨の晴れ間に三度目の札所巡りで第三十一番と第三十二番札所にお詣りしました。

午前8時25分、西武秩父駅発のバスで栗尾バス停に向かいます。第三十一番札所に一番近いバス停です。

第三十一番札所 鷲窟山 観音院 (曹洞宗)

栗尾バス停から徒歩で約60分です。途中、牧場があったり、いわどのさわにかかる朱色の欄干の橋があったりしますが、一番目を引くのは水子地蔵寺ではないでしょうか。

通った時期が七夕が近いためか色とりどりのながしが飾られていました。山の斜面に所狭しとならぶお地蔵様は圧巻です。途中の無人スタンドで赤い前垂れが売られていた意味が分かりました。

更にしばらく歩くと、やっと鷲窟山の入り口に到着します。入口の両脇には「一本石造り 日本一の仁王尊」が出迎えてくれます。

入口から更に階段を登ること296段。途中に苔むした木々や歌を刻んだ石碑が並んでいます。

登りきると鐘楼があり、その奥には左右にゆったりと屋根を広げた観音堂がまるで繰りぬかれたような岩の下に建っています。観音堂の横には落差30mの聖浄の滝があります。修験道の修行の場だったそうです。

このほかにも、滝の横には不動明王、弘法大師像や爪彫摩崖仏など、静かな空間ながら厳粛な空気に満ちています。特に爪彫摩崖仏は風化が長い年月の経過を感じさせ、いつまでも見ていたくなるようなるレリーフです。

早くも茶屋へ

鷲窟山観音院に行く途中で観音茶屋を通りました。開店支度をしているところでしたのでお詣りの後に早速寄ってみました。古民家のような素敵な建物で土産なども売っていました。

お店お勧めの季節のメニュー、「わらびそば」を頂きました。そしてこの店のもう一つの名物は山芋とそば粉を練ってカラッと揚げた「鬼ころり」というメニューです。どちらも大変美味でした。デザートには毘沙門氷、さっぱりカボスシロップをいただきました。暑い中歩いてきた体にしみわたる一品でした。

三十二番札所を目指す後半戦

しばらく民家や田んぼを見ながら国道299号線を歩いてから山道に入り、峠越えをします。小さな沢を何回か渡り峠にでます。観音様が祀られている峠で一休みした後、今度は緩やかに下ります。茶屋を出てから2時間半ほどで目指す第三十二番札所、般若山法性寺の入り口に着きました。

第三十二番札所 般若山 法性寺 (曹洞宗)

石段を上がったところに納経所がありますが、目指す観音堂は更に上にななります。こちらもえぐられたような岩に覆われるようにお堂がありました。この時は他に訪れる人もなく、静寂の中、お堂裏にある石碑や観音像の佇まいが一層厳かに感じられました。

エピローグ

今回は第三十二番札所から第三十三番札所、延命山菊水寺に繋がる国道299号線の泉田バス停で終了しました。

今回訪れた鷲窟山観音院も般若山法性寺も観音様を祀っていますが、その場所は秩父の古い地層に建てられており、岩や滝など自然な地形を残したまま信仰の場として神々が祀られています。古来から人々が自然を崇め、尊んできたことが強く感じられると同時に、石や岩に囲まれていながらとても美しい場所と思いました。