秩父霊場を巡る歩き旅

歩き旅

Camino de Santiagoでお会いした巡礼者に誘っていただいて初めて秩父霊場を巡る歩き旅をしました。お伴させていただいたのは第二十六番から二十九番札所までのおよそ17kmでした。

午前9時に秩父鉄道の影森駅から出発しました。

第二十六番札所 万松山 円融寺(臨済宗)

きれいに掃き清められて入口に桜が咲き、階段を上ったところにお堂があります。お遍路は初体験で、ご一緒したお遍路に盛装した先輩方のお詣りを後ろで拝見。ご本尊様に手を合わせてご挨拶しました。

円融寺には奥の院があります。昭和電工の敷地の中を突っ切り、山道に入り、果てしなく長い300段ほどの階段をひたすら上ります。鬱蒼とした木立の中に続く此の石段を作ってくれた人々の労力を偲びながら1段1段上がっていきました。まだまだあるな、と見上げた先に猿が座ってこちらを見下ろしていたのには驚きました。

奥の院は岩場の斜面に張り出す回廊作りで正面は清水寺の舞台のようです。右側の裏手には穴の様になっている岩場に石像が並んでいます。ひっそりと佇む朱色のお堂はとても趣があります。

奥の院岩井堂からは琴平ハイキングコースで尾根沿いに27番霊場を目指します。途中には観音像があり、絶好の見晴台になっていて秩父盆地が一望できます。この日は周りを囲む山々の斜面に山桜が点在し、美しい風景でした。

第二十七番札所 竜河山 大渕寺(曹洞宗)

観音像の直下に第二十七番札所の観音堂「月影堂」が見えます。近道で下ることもできたようですが、下りが苦手な私の為に少し迂回しておりました。カタクリはもう終わっているという事でしたが、中腹にネットで囲われた一帯があり、その中に花が盛りのカタクリの群生がありました。

山を背景に木立に囲まれた観音堂は静かな佇まいでした。山から下りてきたので、帰りに正面を見ることになりましたが、山門の左右には枝垂桜が満開、続く石段には桜の花びらが舞い散っていて春爛漫を感じました。

第二十八番札所に向かう途中で土津園、甚太郎そばで手打ちそば、こんにゃくの田楽とわらび餅をいただきました。コシのある美味しいお蕎麦で、薬味にねぎやワサビの他、おろしクルミがついていました。そば湯も濃厚でとても美味しかったです。

第二十八番 石龍山 橋立堂(曹洞宗)

第二十七番から道沿いに歩いた後、道からそれて坂を上がったところにあります。こちらのご本尊は馬頭観世音が祀られているので、馬の絵馬や像が置かれています。またお堂横にある二体の愛くるしいお地蔵様がハナダイコンに映えて立っていました。

橋立堂の横には橋立鍾乳洞があります。この時期中はひんやりとしていて想像以上に深く、上へ上へと昇っていきます。途中で「大師さまの後ろ姿」や「仁王様の足」などが見られます。

予期せぬイベント

第二十九番札所へ向かう道すがら、大勢の人がカメラを持っていたので聞いてみると、もうすぐSLが通るという事でしたので待つことにしました。何も知らずに遭遇したのですが、この日が今年初めての運行で熊谷から三峰口を一日一往復する行程のようでした。幸運でした。

第二十九番札所 笹戸山 長泉院(曹洞宗)

桜とハナダイコンなどの花々を楽しみながら立橋堂からおよそ1.8kmで長泉院です。庭園がきれいに整備されていて、ベンチなどもお花の間のあちらこちらにあります。入口に大きな枝垂桜がありますが既に花が終わった後でした。広い本堂の屋根のそりは均整がとれて美しく、奥行きと高さを感じさせます。お堂前にもベンチがあり、一休みしました。

ちょっと寄り道

第三十番札所に行く途中に今回の歩き旅のリーダーのお勧めで枝垂桜で有名な清雲寺に行きました。少し葉桜になっている木もありましたし観光客も多くいましたが、晴れ上がった青空の下、見応えのある素晴らしい光景でした。

予期せぬイベント パート2

第二十九番札所から三十番札所までは7.1km。途中で清雲寺に立ち寄りましたが、ルートに沿って先に進んで行ったところの武州日野駅手前の橋で再び大勢の撮り鉄の皆さんがいました。まさか、と思いつつ聞いてみると午前中に見たSLが折り返し来るとのこと。陸橋を渡るポイントで見られるそうなので待つことにしました。汽笛を鳴らしながら走るSLが見られました。1日に2回も見られるとは、本当に幸運でした。

時間があれば第三十番札所までの予定でしたが、途中で道の駅「あらかわ」に寄ってソフトクリームを食べたりしたため、白久駅に着いたのが15時30分。次の電車到着時間が15時32分だったのでここで終了することになりました。

エピローグ

4月1日は気温も22度まで上がり、風も穏やかで絶好の歩き旅日和になりました。今回はチームリーダーがいらしたので、地図も見ずにひたすら後を歩いて風景を楽しませていただきました。真っ青な澄んだ空に満開の様々な桜、所々で花吹雪に遇い、視線を下げればスミレやタンポポ、つくし、ハナダイコンと花爛漫。静けさが漂う木立の中のお堂との対比が素晴らしい一日でした。思いがけないSLの登場にも鉄道ファンでない私もワクワクしました。因みに、SLが実際に走っているところを見るのは初めてでした。途中で美味しい手打ちの田舎そばをいただき贅沢な春の一日を過ごしました。

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