脱ステロイドを始めてから3ヵ月が経過しました。
症状はあまり変わりません。痒み、乾燥による皮膚のひきつり、痛み、新たに現れる湿疹、日々起こる大量の落屑と時折起こる悪寒と発熱、そして不眠。
そんな中でも変化は見られます。ブツブツしていた肩や背中はブツブツが取れて平らになりました。急な痒みの発作の頻度が減りました。
ただ、睡眠の問題は解決していません。最初の2ヵ月間の辛かった夜の記憶の為か、夜眠るのが怖くなってしまいました。当時の滲出液との攻防と強烈な痒みとの闘いの夜。毎晩、就寝時間になると甦ってきます。今夜はどうなるのかと思うとなかなか眠れません。眠気がピークに来るのを待って勢いで眠っても同じことでした。やっと眠っても眠りが浅くなれば目が覚めるというサイクルで何度も起きては痒みが収まるまで1-2時間待ってまた眠るのですが、そのまま眠れる時と眠れずに朝になってしまう日が続きます。
お昼寝をすればよい、と思っていてもこれでは生活のリズムが狂ってしまいます。あまり良い状況ではありません。
主治医からは「デュピクセント」のお話しは最初の診療の時から伺っていました。注射をすれば痒みも湿疹も軽減してそれに伴って睡眠も改善されるということでした。またこの注射についてはステロイドを使用する医師からも以前に勧められたことがありました。
以前にも書きましたが、抗体注射をためらっていた理由は主に2つあります。
一つは既往症に橋本病があり、それに影響しないかということです。甲状腺を診ていただいている主治医からは問題ないと言われていました。デュピクセントはサイトカインの中のIL-4とIL-13の働きを抑える薬です。決まった物質だけを狙って抑制するということですが、長期の使用による副作用がはっきりと分かっている訳ではありません。私的には少し心配でしたので、デュピクセントを使用せずに済むならば使いたくないと考えていました。なによりも自力で治せるならばそれが一番良いと思っていました。
もう一つの理由は医療費が高額になるということです。デュピクセントは2週間に1度、注射による投与を継続して使用する必要がります。効き目には個人差があり、いつまで使うかは人によってまちまちだそうです。半年で止める人もいれば何年も継続して使う人もおり、一旦止めても、再度湿疹が出て再び使用しなければならないこともあります。使わずに済むならば大きな経済的負担は避けたいと思っていました。
更に、もう一つ加えるならば、前述したようにデュピクセントは2週間ごとに打たなければなりません。いつまで続くか分からない注射で2週間以上の旅行が制限されるということです。再びスペインの巡礼路に戻りたいと考えている私にとっては長く続けることになれば大きな障害になります。
それでもデュピクセントの使用に踏み切ったのは下記の理由のためです。
1. いつまで続く? いつになったら元の生活に戻れるのかという見通しが全くつかない事です。元の生活とは、睡眠がしっかりとれ、手の痛みや落屑を気にせず料理や家事ができ、普通に散歩をしたり、外出したり、ハイキングをしたり、山登りができる。ためらわずに家族や友人達と外食や旅行に行かれることです。少し良くなって、そろそろ回復期かなと思っても別の所に新たな湿疹が出てきます。よく眠れる夜もあり、このまま眠れるようになるのかと思えば翌日には全く眠れない夜が訪れます。展望が見えてこないのです。
2. セカンドオピニオン 今は脱ステロイドを推奨する医師に診ていただいています。決して疑っているわけではありませんが、専門的な知識のない私にとっては本当にこのままで良いのかと心配になることがあります。それは皮膚の改善には時間がかかり、顕著な改善が実感できないからです。ネットで調べてみても、私の知りたいことにピンポイントで回答が見つかりません。
その為、家族の勧めもあり、別の脱ステロイドを推奨する皮膚科医にセカンドオピニオンを伺ってみました。
セカンドオピニオンをくださった医師は丁寧に私の話しを聞いてくださいました。そして結果としてはこのままで良い事とやはりデュピクセントは良い治療薬であると言われました。「今の主治医がやってくれると言っているのであれば、やってみたら良いし、多くの患者がそれで改善している」とのことでした。このセカンドオピニオンはデュピクセントの使用だけでなく、細かなアドバイスもいただき大きな助けになりました。
3.家族のためにも 一日でも早く良くなることは、もちろん自分が楽になることですので私自身が一番望んでいることですが、同時に家族のためでもあります。無残に荒れた手や、炎症で赤くなったり落屑間近で白くなる顔や首などを日々目にせざるを得なかったり、時折出る微熱で早々に寝こんでしまったと思えば夜通しついている部屋の明かりを目にしたりと、そばで見ている家族の心的ストレスも大きいと思います。
上記のような経緯があって、一大決心をしてデュピクセントの使用に踏み切ることにしました。
<以下”デユピクセント1回目”へ続く>