石老山

低山ハイク

9月に入り、そろそろ低山ハイクの時期到来かと考えて石老山に行ってみました。前日に関東を通過した台風一過の日、山の中は未だキラキラと雫が残り、沢の流れも涼しげでしたが、陽が登るにつれて気温が上昇し、湿度もあがり...。そして思わぬ災難に見舞われた山行になりました。ヤマビルの襲来です!

行程

JR相模湖駅からバスに乗って石老山入口バス停で下車しました。バスには乗客も少なく、石老山入口バス停で下車したのは僅か3名でした。

石老山入口 → 石老山登山口 → 顕鏡寺 → 桜道展望台 → 融合平見晴展望台 → 石老山 → 東雲山 → 大明神山 → 大明神展望台 → 相模湖MORIMORIバス停

バス停から歩いて20分弱で相模湖病院に着きます。こちらの駐車場と石老山登山者駐車場はほぼ同じ場所です。病院の来院者の駐車場は病院側の横並び駐車。そして登山者用は山側の縦列駐車になっています。駐車場先から山に入ります。

前日の雨で登山道には水が流れていましたが、それも涼しげで良い道です。金属製の足場の板とパイプでできた橋を渡れば、また一段山に入っていきます。登山道には石が敷き詰められていて少し滑りやすくなっていましたが、きれいに整備された登山道を登っていきます。

石老山は海底の礫岩が隆起して山になったと言われています。そのため、山のあちらこちらに大小様々な形の奇岩や巨岩がゴロゴロしています。

名前のあるものだけでも、「阿吽岩」、「屏風岩」、「駒立岩」、「文殊岩」、「力試し岩」などですが、それぞれの岩の近くには説明書きがありますので、一つ一つ見て歩くのも楽しみです。

顕鏡寺までは20分ほどです。建物は新しく見えますが、実際は平安時代に創建された真言宗の古刹です。ここには蛇木杉という木があり、その巨大な根が地上を蛇のように這っています。

顕鏡寺からほどなくして分岐があります。八方岩経由と桜道展望台経由で山頂へ行く道です。今回は桜道展望台経由にしました。YAMAPや相模湖観光協会のハイキングマップでは「桜道展望台」と書かれていますが、分岐の標識には「桜山展望台経由」と書かれています。

桜道展望台からは相模原市が一望できますが、高度感はそれほどありません。しかし、ここの紅葉の木のほんの一部の枝では既に紅葉がはじまっていました。青々とした葉が茂る中、ほんの一部が紅葉し、青空に映えます。「小さい秋見つけた」です。

桜道展望台から融合平見晴展望台までは緩やかの登りですが、ほとんど平に近い道です。木にはまだ葉が生い茂っていますが、足元には落ち葉がたくさん積もっています。夏の暑さの名残を感じながら、それでも確実に季節が変わっていっているのを感じます。

融合平見晴展望台では、少し展望がありました。正面に見えた山並みは生籐山と右に陣馬山。下の方には相模湖が見えます。

融合平見晴展望台から石老山山頂まではきつめの登りが始まりますが、危険個所はありません。ひたすら登ると開けた部分がみえるので、山頂かと思うと実は偽ピーク。一旦下ってから再度登り、それが平らな道に変わり、少しだけ階段を上れば今度こそ本物の山頂です。700m程のかわいい山なのに、偽ピークがあるとは…。

木製のベンチで休んでいると、やっと登山者が二人登ってきました。ここまで、他の登山者には全く会いませんでした。石老山は人気の山と聞いていたのに、バスも空いていたし、山の中にも人の気配がありませんでした。登山口の駐車場で”登山者用駐車場”に停めていたハイカー達と思われます。

さて、ベンチで休んでいると足がとても長くて細い蜘蛛が這いあがってきました。しかし後で調べてみると「ザトウムシ」のようです。汗を拭くために置いてあったキャップに入ろうとしたので慌てて払い、ザックのファスナーも閉めました。この日は雨上がりで高温ということもあり、生き物が活発に活動しているようでした。これが後から実証されます。

登山口からここまでの道のりは、実は東海自然歩道の一部になっています。奈良県の曽爾村から室生、山の辺の道から柳生街道、そして先日は山梨県の青木ヶ原樹海と東海自然歩道の一部を歩いています。意識をした訳ではないのですが、東海自然歩道とご縁があるようです。この先ももう少し東海自然歩道を行きます。

下山は東雲山、大明神山を通って相模湖MORIMORI前バス停までです。相模湖MORIMORIは旧相模湖ピクニックランドです。

石老山山頂から大明神展望台までは穏やかな尾根沿いを歩きます。

大明神展望台からは相模湖の向こう側に景信山がほぼ正面に見えます。左側に陣馬山。右側を覗き込むと小仏城山と高尾山まで見えます。

標高が下がると同時に、足元には石がゴロゴロと目立ってきます。苔むした石の上を滑らないように気を付けながら歩きます。手を使って気を付けながら下りる場面も出てきました。振り返ってみればかなり急な岩々した下りです。安全な登山道の傍らにも大きな石がゴロゴロとしています。

そしてほどなく水の音が聞こえて沢に下ります。ここの近くにはキャンプ場があります。そしてキャンプ場を過ぎればもう舗装道路ですので、このまま相模湖MORIMORI前バス停まで行きます。

朝のスタートは涼しかったのですが、湿度が高く、陽が登るにつれて気温んがグングンと上がりました。大量に汗もかいたので相模湖MORIMORIに併設された「相模湖温泉うるり」に寄ることにしました。時刻も12時過ぎ。お風呂に入ってから昼食を食べればちょうど良い時間です。

想定外の出来事(登山を始めて以来の惨事)と教訓

さて、気分良く温泉に入ったところ、首の横に大きな痣ができています。ザックを変えて2度目のハイキング。形が合わなかったのかとジッとみてみると、ミミズ腫れになっている? まさか! そうです、たっぷりと私の血を吸ったヤマビルでした。この後、一緒に行った友人も足をかまれていましたし、首にばかり気を取られていましたが、実は足も3か所かまれていました。

なかなか止まらない首の出血をタオルで抑えながら、お湯に浸からないように温泉に入りました。

今回は初めての山、石老山に登る!と張り切って来たのですが、よく考えれば石老山は丹沢山地の一部。あの有名なヤマビルの生息地に含まれているのです。

思い起こせば、入山して直ぐにヤマビルを見ているのです。尺取虫のように張っていた茶色い虫。あれはヤマビルだったのですね。見てもすぐに認識できなかったのは知識と経験不足の何ものでもありません。

そして山に入ってからは蚊とかアブなどがいなかったので、せっかく持って行った虫の忌避剤や虫よけスプレーを使っていませんでした。後日、ネットで調べたところ、忌避剤を靴の周りにかけておくだけでも効果は高いとありました。

虫を目にしてからも持っている忌避剤や虫よけスプレーを使うという選択肢が思い浮かばなかったことは慙愧に耐えません。

温泉施設ではできるだけの消毒をし、コットンとサージカルテープで出血を抑えて帰りました。途中の薬局で事情を話し、抗ヒスタミン軟膏を購入しました。薬が良かったのか、または強炭酸温泉の賜物か、痛み痒みかぶれも全くなく、時間とともに消えると思われる僅かな傷跡が残っただけで済みました。

一つ追記するとしたら、相模湖MORIMORIの温泉施設で後から入ってきた一団も「ヤマビルに嚙まれまくりだ~」と叫んでいました。この一団がどの程度の防御をしていたのかは知る由もありませんが、山中には多くのヤマビルがうごめいていたことは確かなようです。

事前の情報収集と準備を怠った今回の惨事。また一つ教訓を得ました。

今回の動画をInstagramに掲載しています。そちらもご覧いただければさいわいです。 石老山