「春の香りに誘われて」という森林インストラクター東京会のイベントに参加しました。初めての参加です。
”高尾山のスミレ”が有名なのは以前から知っていましたので、一度ガイド付きでこの時期に登ってみたいとずっと思っていました。念願のイベント参加です。
募集人数は40名とありましたが、申し込みの際に「応募者多数の場合には抽選になります」と返信がありました。ドキドキです。
開催日の10日ほど前に参加が確定しました。
当日は高尾駅に集合しましたが、平日にも関わらず小仏行きのバスは2台でも満員で、乗れずじまいの人もでました。幸いイベントの参加者は全員乗車することができ、日影バス停に向かいました。
4グループに分かれ、それぞれのグループにインストラクター1名です。 更に補助の方2名のインストラクター6名体制です。
連絡事項の説明と準備運動をしてからツアーの始まりです。
今回のルートは以下の通りで、高尾山山頂には寄りません。
日影林道 → 逆沢作業道 → もみじ台 → 南巻道(富士見台園地) → 薬王院 → ケーブルカー高尾山駅
ツアーはインストラクターの説明を聞きながら、写真を撮りながらゆっくりと進んでいきます。4班に分かれてはいますが、40人ものグループです。しかし、インストラクターの方々が事前に下見をして、あまり混みあわないルートになっていたので、混乱もなく進むことができました。
事前に配られたTAKAO599MUSEUMの”高尾山でよくみられるスミレ~スミレの見分け方~”と合わせてみます。
スミレは満開の時期なので歩いていて目に入りますが、他の山野草はインストラクターが教えてくれます。前の週に事前に下見をして場所を確認されたそうです。
タチツボスミレ 最初に現れました。濃い紫の花にハート形の葉が特徴です。
アカフタチツボスミレ タチツボスミレの亜種だそうですが、葉っぱはほぼ同じですが、花がやや赤みがかっています。とても凛とした美しい花です。


エイザンスミレ ピンクの花に特徴的な三つに分かれた尖った葉が付いています。


タカオスミレ 歩き始めて一時間ほどでようやく出会いました。白っぽい花の中にはくっきりと紫の筋があり、葉っぱは紫がかっています。


ヒナスミレ 花はかわいらしいピンク色で、葉っぱが先端に向かってシャープに尖っています。がくは紫色です。


ナガバノスミレサイシン くっきりと開いた花は紫とピンクの中間ぐらいです。ナガバというだけに、葉っぱが大きくて細長くなっています。


マルバスミレ 花はほぼ白。花も葉も丸みを帯びているので、全体に柔らかい雰囲気です。


ヒメスミレ 濃い紫の花が存在を主張していますが、本当に小さい小さいお花です。石畳の縁にひっそりと咲いていました。

ニリンソウはそこかしこで見かけることができました。


アオキ 先端につぼみのあるもの、既に開いているものと新緑を感じさせてくれます。あちらこちらに自生しています。
テンナンショウと思われたものはウラシマソウでした。先端が長く伸びています。
ミミナガテンナンショウ これからですが、既に多く見かけました。今回ウラシマソウとミミナガテンナンショウの違いを初めて知りました。


マルバコンロンソウ 可憐な小さな白い花が付いています。

ヤマブキ つぼみから、枝が下がるほど花をたわわにつけたものまでみかけました。
セントウソウ 小さな白い花がたくさんついていて、その可憐さが目を引きます。

ハナイカダ まだ開ききっていない新緑の葉を少し開いてみると葉の上に小さな丸が乗っています。

アブラチャン 既に花は終わっていましたが、森の中でのアブラチャンの生存戦略についてお話しがありました。アブラチャンの幹は細く、背も高くありませんが、地面から何本もの幹が伸びています。太い幹を維持するのを避けて、省エネで細く・低く、でも数で成長する戦略を選んだ木だそうです。

ヒメウズ 三つ葉のクローバーの葉を三つ集めたような葉に薄いピンクの花が付いています。蕾の時には花同士が寄り添うように、そして花になると少し茎をのばして鈴なりに花が咲きます。


モミジイチゴ 蔦のような緑の枝にもみじや楓のような葉と下向きに薄いピンクの小さな花が付きます。枝には棘があります。

コミヤマカタバミ 葉が特徴的です。シャープなハート型が3枚クローバーのようになっています。花は白に近く、まだ咲ききっておらずにスズランのように下を向いたままでした。

ヤマルリソウ 花弁が5枚の青白い小さな花です。青と白のグラデーションがとてもきれいで可憐です。調べると、湿った山の崩れそうな土手の斜面によく咲くそうです。

リュウノヒゲ 緑の長い葉が伸びています。今回目を引いたのはラピスラズリのような真っ青な実がついていたからです。

コチャルメルソウ 長い枝の上に小さな黄色味を帯びた花が間隔をあけてついています。ガクが長く先が尖っています。
ユリワサビ ハート形を少しギザギザさせたような葉と茎の先に白い小さな花が付いています。花弁は4枚で十字型です。

エンレイソウ 茎の先端に形の良いふっくらとした大きな葉が3枚ついていて真ん中に小さな花が一つついています。花びらはなく、ガクが開いた状態で、それが花のように見えます。

ウグイスカグラ 細い木の枝にまばらに葉がつき、雫のような赤い蕾と下を向いた赤いシャンデリアのような花が咲いていました。

クロモジ 楊枝の材料として使われるクロモジですが、今回は先端に鈴なりに咲く小さくて黄色いとてもかわいらしい花が見られました。

シュンラン インストラクターの方が事前に見つけておいてくださいました。群生している場所があり、水仙のような長い葉の間から茎が伸びて花が咲いています。赤みがかった中央部から徐々に黄色そして薄緑に色が変化していますが、いずれも透けるような花びらです。また茎も半透明の薄皮のようなものに覆われています。

キランソウ 地面の低い所にギザギザした葉を広げ、真ん中に濃い紫の花をつけています。

ヤブレガサ 地面から1本の枝がでて、その先に1枚の葉が付いています。もみじの葉をもっと細く切れ長にしたような、名前の通り破れ傘のように枝垂れて(葉垂れて)います。花もつくそうですが、今回は葉だけでした。

トリカブト 事前にインストラクターの方が探しておいて案内してくださいました。初めて見るトリカブトです。

高尾山にはまだまだたくさんの植物が元気に自生していますが、今回は主に春らしい花をつけた植物をたくさん観察しました。
いつもは足元を見るか、真っすぐ前を見てひたすら歩いていた高尾さんですが、温かい陽ざしにも恵まれて、説明を聞きながらのんびりと草木を眺めて歩くハイキングを存分に楽しんだ一日となりました。