11. 3年に渡る皮膚科との関わりの中で

well-being
家に籠っている時には空が唯一のなぐさめだった

皮膚科に通い始めてから3年、また脱ステロイドから7ヵ月が経ちました。

この間、様々な薬の使用に振り回されても解決できず、とうとう自己判断で急にステロイドを止めたことにより激しいリバウンドを経験しました。溢れる浸出液、湿疹、痒み、痛み、落屑、不眠、精神的な落ち込みなどです。

これらは自分自身に起きている事なので自らが向き合わなければならない事ではありますが、ここに至るまで、またリバウンドの間にも医療機関との関わりに疑問や納得のいかなかった事が多々ありました。

皮膚科を渡り歩く

私自身、これまであまり病院で受診することはありませんでした。幸い大病を患ったこともなく、多くの場合は自然治癒力を信じて、睡眠と食事で大抵のことは解決できると考えていました。

1件目の皮膚科

2020年のコロナ感染症の拡大でマスクが手放せず、そのマスクが原因で頬骨の上あたりに湿疹ができてから治らず、2021年になって初めて皮膚科に行きました。保湿剤、ステロイド、飲み薬(抗ウイルス薬)を処方されるも3ヵ月経っても治らず、また、受診の度に長時間待たなければならず、病院を変えることにしました。(特にコロナ感染症拡大の時期でしたので、病院で長時間待つことは避けたかったのです)

2件目は総合病院内の皮膚科

2番目の病院は予約が可能で待ち時間もほぼありませんでした。処方された薬は呼び名こそ違いますが、基本は1件目の皮膚科と同じです。保湿剤、ステロイド、飲み薬(抗ヒスタミン薬)です。良くなったかと思っても繰り返し湿疹が出てきます。10ヵ月経っても治りません。

3件目は漢方薬

知り合いに評判を聞き、3番目の病院に行きました。ここでは漢方薬を含めて別の薬が処方されましたが基本的には同じです。しかしながら漢方薬が合わず、強い倦怠感で朝も起き上がれず、また日中も身体がだるく立っていられません。以前にも漢方薬で同じことがあったため、10日ほどで使用を止めました。

振り出しに戻る

結局、2番目の病院の戻りましたが、総合病院の皮膚科医が不在となってしまったため、1番目の病院の戻り、元のステロイド、保湿剤、飲み薬を暫く使用していました。

4件目の皮膚科

最初に皮膚科に通ってから約2年後、4番目の病院に行きました。そこはアトピーの患者さんが多いと聞いていました。この病院では、飲み薬が中心で、塗り薬は炎症や湿疹・かぶれに対する薬が処方されました。しかし、今までの倍量の飲み薬を処方されましたが服用しても湿疹がでるため、次々を薬を替え、8種類を試してみました。しかしいずれも顕著な効果が見られませんでした。この間、湿疹は広がり、頭の中にも痒みが出てきました。医師からは注射(デュピクセント)を勧められました。

意思疎通の難しさ。ちょっぴりケンカ腰

ここでの問題は、医師との意思疎通がうまくできなかったことです。私には「湿疹」と「かぶれ」の区別はつきません。ネットで検索しても納得のいく説明は見つけられませんでした。そして診察の時にそれについて質問すると、「だから~!」と声を荒げられます。私としては、少しでも自分の状況を理解したいと思っているので、事前にネットで検索もしています。それでも理解できないことを専門医に聞くのはいけないことでしょうか?

それに湿疹だからこれとこれ、ここははかぶれだからこれを付ける。と言っても全身を見てくれるわけでもありません。衣服から出ている僅かな部分で薬が処方されます。じゃあ、先生が見ていない背中のこれは湿疹?かぶれ?太ももは?お腹は?疑問が膨らむばかりです。

なぜ体がこのような状態になっているのか、私の症状は一体何なのか、湿疹?かぶれ?アトピー?原因も症状も何も分からないままどうしたらよいのでしょうか?患者は黙って曖昧な指示に従うだけなのでしょうか。

皮膚科の診療への疑問

これまでの4件の病院で、くまなく全身の状態を診てくれたところは全くありませんでした。露出している腕や足、首を見るだけで、どうしてわかるのでしょう。

背中にも、太ももにも、お腹にも湿疹は出ています。それらを見ずして部位によって違う薬を処方するのはどういう事なのでしょうか?体の部位によってステロイドの強弱があることはネットで知りました。もしも体の一部だけを見て全身状態が分かるというのならばその説明があってもよいのではないでしょうか?

友人に、お子さんが生まれた直後から強度のアトピーの人がいます。もう20年以上前のことです。皮膚科に連れて行き、むずかる赤ん坊をあやして1時間以上待っても、診察は1分。服を脱がせて全身を見ることもなかった、とつい先日聞きました。母親の不安は察するに余ります。そして今も皮膚科では同じ状況が続いているのだと思いました。

皮膚科は湿疹の原因を探らない?

そもそも、皮膚科は既に出ている症状を治すだけで、その原因を探ることはしないのでしょうか?

私の場合は最初はマスクと皮膚の摩擦が原因だと思っていますが、それは接触性皮膚炎と呼ばれるものでそれが全身に広がって衣類と接触するところに出てきたのでしょうか?では、同じように衣類と摩擦があるのに湿疹が出るところと出ない所の差は何なのでしょうか?

原因が分からなければ対応策がとれません。その対応策のアドバイスを医師からもらえなければ誰に相談したらよいのでしょうか?

どこの皮膚科も患者さんで溢れています。長時間待たされます。一人一人の全身状態を見る時間が取れないのならば何か工夫はできないのでしょうか。

「暫く様子を見ましょう」はNGワードにして欲しい

現在は脱ステロイドを提唱している医師に診ていただき、5か月前からデュピクセントを使用しています。とてもよくしていただいています。

薬が切れるひと月毎に受診します。その際に、「まだ痒みがあります」「まだ(背中・お腹・脇などに)湿疹がでます」と状況報告をしますが、「そのうち良くなっていきますよ」と言われます。露出している部分は見ますが、そのほかに部分を見ることはありません。見ずして「そのうち良くなっていく」と言われても不安になります。医師にも分からないのかもしれませんが、患者としてはどれくらいの期間で良くなるのかが一番知りたいところですが、もしも個体差があって具体的な期間に言及できないのなら、どういう経緯を辿って快方に向かうのかを知りたいと思いました。

同じことが以前通っていた病院でも言えます。薬を塗れば湿疹は消えます。しかし薬を止めればまた直ぐに出てくるのであれば、どこまで薬を使い続けるのか指示が無ければわかりません。症状が消えてからどれだけ塗り続ける、という指示はありません。どういう状態になったら「治った」と言えるのか患者には分かりません。「暫く様子を見ましょう」の暫くっていつまで?様子を見ましょうの様子はどのような状況を指すのでしょうか?

薬は難しい...

全ての皮膚科で塗り薬を処方してもらいましたが、つけ方を教えてくれたところは1件だけです。最近になって、デュピクセンを使うにあたり、セカンドオピニオンを伺った医師は唯一軟膏の塗り方を教えてくれました。そしてそれまでの3ヵ月、間違ったつけ方をしていたことが指摘されました。

薬によって、塗り方も、量も違うと思います。また、湿疹が消えてからもずっと塗り続けるのか、いつまで塗るのか、その目安は何なのか。自己判断を任されても分からないのです。

インターネットでFTU(Finger Tip Unit)という言葉を知りました。しかし、チューブの大きさによってもその量は異なると書いてあります。使う人の利便性が考慮されていない様々な大きさの違う薬を医師からの説明もなく使わなければならない薬とは、医療とはいったい何なのでしょうか?薬については薬剤師さんの仕事なのでしょうか?でもこちらから質問しなければ塗り方は教えてくれません。身体を見ていない薬剤師さんにどこまで頼れるのでしょうか?実際に「これは薄く塗ってください」と渡されたステロイド剤もあります。FTUとは異なる使用法です。

特にステロイドは使う側からすれば湿疹が消えればすぐにでも使うのを止めたくなります。その判断基準は患者には分かりません。医師の指示が無ければ患者は何をどう判断したらよいのでしょうか?

また、飲み薬に関しても、「痒くて眠れない時に飲んでください」と言われていた同じ薬が「毎日量を2倍にして飲んでください」に変わります。それぞれの医師に治療方針の違いはあると思いますが、患者としては納得がいかず、不安になります。

「だ・か・ら~」と声を荒げる医師は論外としても、医師にも頼れなければ患者は一体どうすればよいのでしょうか?

セカンドオピニオン?

皆さんはこんな時にどうしているのでしょうか?日本アレルギー友の会などのNPO法人や様々はオンラインの健康相談室に問い合わせているのでしょうか?

私は不安になり2度ほどオンラインの健康相談室に電話をしましたが、実際に様子をみてもらえるわけではないので、結局は「今かかっているお医者さんとよく相談してください」ということになります。又は、「症例を多く見ている専門医に相談するのも良いと思います」と言われます。

病院を変える決心をするのも大変な事です。まして、一旦自分で決めたやり方に疑問が生じたり、家族と治療に関する考え方が違えば混乱が起こります。

私自身は同じ脱ステロイドを提唱している皮膚科医に診ていただきセカンドオピニオンを頂けたことは結果的にはとても良かったと思います。

しかし、これにはパワーが必要です。身体的にも精神的にも苦しい時に新たな病院を探して、行って、待って、最初から経緯を説明して、診てもらうのは想像以上に苦しく辛いことです。自分の身体の為には努力を惜んではいけないのかもしれませんが、実行に移すのは大変な事です。

湯治に行った際には多くの患者さんたちと知り合いましたが、皆それぞれです。良き情報交換になりますが、惑わされることもあります。しかしここで分かったことは皆さん自ら試行錯誤をしながら自分に合った方法を取り入れているということです。中には”それって本当に大丈夫?”という方法をとっている方もいました。そしてその一因は適切な指導やアドバイスが医療機関から得られず、自己流を実践するしかないためと思われます。

皮膚科に通い始めて3年が経ちます。現在は今診ていただいている医師を信頼して治療を続けています。

最近10回目のデュピクセント注射を投与しました。脱ステロイドから215日目です。回復に向かっていると感じる一方で薬の量を減らすとまた痒みがぶり返します。

以前の日常に近づいていると感じつつも完全回復までの道のりは長く、今後も様々な葛藤が続きそうです。

辛い日々の間でも自然を愛でる気持ちが保てたことは幸せでした