日本語には四季折々、そして自然を表す言葉が他の言語よりも多いという。古くから自然を崇拝し、言葉を「言霊」として大切にしてきた日本が誇る文化であると思う。
前回の低山ハイク「森林インストラクターと歩く高川山縦走トレッキング」で地面に映し出される木漏れ日の光は光源の太陽が丸いから全部丸型、そして皆既日食の時は三日月形と聞き、ちょっと感動。今まで上から差し込む光ばかりに気を取られていたが、地面に映し出される木漏れ日のちらちらと揺れ動く光が愛おしく見えてきた。
トレッキングから2日後に行った高尾山。山頂から4号路を通って下山途中で美しい木漏れ日が登山道でゆらゆらと踊っていた。上手く撮れるかどうか分からなかったけど写真に収めて帰宅後に早速SNSで投稿しようと思ってはたと気が付いた。
「木漏れ日」って英語で何というのだろう・・・。知らない英語があるのは日常茶飯事なので直ぐに調べてみた。(SNSは英語で投稿しています。ご興味のある方は Tomoko0618_60s(@tomoko0618_60s) をご覧ください)
日本語、特に自然や季節を表す言葉の他言語への訳語は無いと聞いていたが案の定、木漏れ日は無かった。木漏れ日の訳は「木々やその葉の隙間から指す陽光」など説明文にして訳されている。
Oxford Dictionariesのコラム記事コンテンツのOxford Glogでは15 Japanese words that English needs(英語にも必要な日本語表現 15個)と題したエントリーの中で、その筆頭にKomorebiが挙げられている。(eikaiwa.welbio.jpから抜粋)
またElla Frances Sandersの11 Untranslatable Words From Other Culture(異文化の翻訳できない11の言葉)でも日本語のkomorebiが選ばれている。
木漏れ日。この言葉は自然の現象を表すだけでなく、もっと詩的で心に響く、人の心のありようまでも映し出すように感じる。
四季を通じて、春ならば新緑の間からこぼれる柔らかい光。夏ならば力強い日差しをやわらげ暑さを遮ってくれる涼をもたらす光。秋ならば紅葉や萎れ始めた葉の間から落ちる最後の煌めきともいえる光。そして冬に常緑樹の間から差す光は寒さを和らげ柔らかくほの温かい。季節ごとに変わる太陽と木々の光遊び。
歩き始めた頃は足元が不安で必死で見ていた地面。徐々にその足元に季節の花を見つけ、新緑を見つけ、そして今はそこに映し出される光を見て楽しむ余裕が出てきた。
ハイキングの楽しさが一つずつ増えていく。