巡礼の旅へ、再び

Essay

再びの巡礼旅は思いがけない一言から始まりました。

昨年の秋に再び訪れるはずだったサンティアゴ巡礼路は体調不良で家から出ることもできない状態でした。この春も、回復はしてきたものの、未だに2週間ごとの薬の投与が欠かせず諦めていました。

私にとってのサンティアゴ巡礼は、ルートを決めたら最初から最後まで歩くことを意味していたので、歩きたいルートは最低でも37日間かかり、到底無理でした。

そんな時、サンティアゴ巡礼経験者が集まるランチ会で、「誰か1週間だけ一緒に歩かない?」という会話が耳に入りました。”1週間”!、もしかしたら往復を入れても14日間で戻ってこられる?その手があったとは…。と思った瞬間、「私、それ行きたい!」と言ってしまったのでした。

そのような訳で、「ポルトガル人の道」を企画されていた「エンドウさん」の旅にご一緒させていただくことになりました。

今回の旅はポルトガルとスペインの国境の町からスタートし、初日に橋を渡ってスペインに入りサンティアゴ・デ・コンポステーラを目指します。

旅程が決まったところで、前回の巡礼で共に歩き最後一緒にゴールしたスペインの二人組に早速連絡をしました。すると、思いがけない返信が。ルイスから「僕もポルトガル人の道を歩く予定だったんだ。日程を調整できればまた一緒に歩けるね。ホセ・ハビエルは足の調子が悪くて無理かもしれないけど…。お互いに連絡を取り合おうね」

嬉しいサプライズでした。

また、5月に来日したポルトガルのゼズィーニャにも「リスボン経由で行く事が決まりました」と連絡したら、是非リスボンで会いましょう、と返信してくれました。

こうして偶然耳に入った「誰か1週間だけ一緒に歩かない?」は思わぬ展開をみせ、私に旧友との再会の機会を与えてくれました。

日本から一緒に行くのは、カミーノの経験豊かな「エンドウさん」と初めてカミーノを歩く「ノブコさん」。ご縁があって共にポルトガル人の道をゆくことになります。

この再会とご縁は「神様のお導き」としか思えません。

慌ただしく旅の打合せと準備をし、チームでのトレーニングハイクも行いました。懸念事項だった薬も医師に処方してもらいタップリ持ちました。

ランチ会のメンバーの皆さんからは激励や巡礼を見守ってくれる心強いグッズなどを頂戴し、また家族からも快く送り出してもらい、カミーノ・デ・サンティアゴ出発の日を迎えることができました。

こうして多くの「Buen Camino!」に送られて再び巡礼路への旅立ちが叶いました。

再び巡礼路に戻れる喜びはたとえようがありません。