1. 健康でいること

well-being

「60歳からの歩き旅」をご覧いただいている皆様へ

爽やかな空の下でハイキングを楽しんだり、思い切ってスペインのサンティアゴ巡礼路を

歩いたりしてきた私ですが、それらは健康体であってこそ成り立つもの、

ということをいやというほど実感することになってしまいました。

このブログも保冷剤で手や首を冷やしながら書いています。

思いもよらなかった落とし穴。たかが肌荒れ、湿疹と思っていたのに。

健やかであることがどれだけ幸せかをかみしめながら、また年齢と共に低下する

回復力に戸惑いながら、もう一度歩き旅を楽しみたいと願って書きました。

同じ悩みを抱えている方々への一助になれば幸いです。

脱ステロイドを決めるまで

2020年、瞬時に世界に広まった新型コロナ感染症で人々の生活は一変しました。感染症拡大以来、私が日々使っていた不燃布のマスクによって顔に湿疹ができました。頬にできた小さな湿疹くらい、と思っていたものは次第に口の周り、額、首、胸とあっという間に全身に広がりました。皮膚科では体の部位に合わせた塗り薬(ステロイド剤)と、痒みがある時に服用する飲み薬を処方されるばかりで根本的には何も解決されないまま2年が過ぎていきました。この間、スペインのサンティアゴ巡礼中は症状はほぼ出ず、気候と環境の変化ですっかり治ったものと思っていましが、帰国後間もなく再発しました。そして、何も解決できないまま最初に湿疹ができてから2年半が過ぎました。

この間に低山ハイクや上記のスペイン・サンティアゴ巡礼に行ったりと、まだ日常生活は送れていましたが、ハイキング後に湿疹が酷くなったり、目が開かなくなるほど瞼が腫れたり、徐々に手に負えなくなっていく実感はありました。

全身に広がった湿疹は薬を塗れば改善し、止めれば悪化し、別の場所に現れ、全身に定着した感があります。皮膚の病気は治るまでに時間がかかるといいますが、一向に治る気配は無く、この間に病院を4件変わりました。

それぞれの病院では正直に前にも皮膚科に通っていたこととどのような薬が処方されかを伝えました。最初の3件では「対応も薬も間違っていないので、もう暫く様子をみましょう」ということになりました。4件目の皮膚科では、基本的には変わらないものの、飲み薬をそれまでの倍量飲むように指示がありました。量を変えて2週間は湿疹は現れず、症状が快方に向ったかの様にみえましたがそれもつかの間、また体に湿疹が出始めました。医師に相談したところ、「飲み薬が効いていないので、変えましょう。どの薬が合うのか、7種類を4日間ずつ飲んで試してみましょう」、ということになりました。4日間ずつでは効いているのかいないのか分かるのだろうかという疑問はありましたが、「効けばすぐにわかる」ということでしたので、次々と試してみました。

実際に服用してみると、4日間という期間で顕著に効果が分かることは無く、体調が悪くなり2日で止めた1種類を薬を除いては、4日間の服用でどれが合っていたのか分かりませんでした。それでも可もなく、不可もなくという1種類を選んで1ヵ月試してみることにしましたが2週間飲んだところで、またしても体に湿疹が出てきました。再び医師に相談したところ、合う薬は無いと判断して、次のステップである抗体の注射を勧められました。

インターネットで調べたところ、抗体注射の使用は順当なプロセスであることが分かりました。しかし、これは高額医療対象の治療法です。効く確率は高いものの、長期継続しなければなりません。経済的な負担と長期使用に伴う未知の副作用を考えるとそこに踏み込むのか良いのか、判断できませんでした。

私個人の健康に対する信条は自然治癒力を信じることにあったので、長年最小限の薬しか飲んでこなかったし、薬に頼る前に睡眠や休息、食べ物も含めて自然の力を頼ってきました。そのため、この2年半の間に大量に薬(私にとっては)をのみ、成り行きとはいえ長期間ステロイドを使用してきた事が良かったのかずっと自分の中で引っかかっていました。

コロナ感染症拡大の最中の母の看病と看取り、それに続く家族の看病で自分が感染してはならないと思い頼ってしまった薬の数々を後悔する気持ちがずっと自分の中にありました。

2023年5月に新型コロナウイルスが5類に移行したこともあり、こで一旦全ての皮膚科の薬を止めてみるという決断をしても良いのではないか。それでもダメだったら最後は再び薬に頼って抗体の注射についても改めて考えてみよう、そう思い始めていました。

そんな時に、家族から ”北海道にユニークな温泉があって、アトピーを含めて皮膚病の人達の聖地と呼ばれているらしい” と聞きました。北海道は稚内の近くにある豊富温泉です。早速インターネットで検索してみると、「ミライノトウジ 日本最北端の温泉郷 豊富温泉」というホームページがありました

ホームページを読むと、元々は石油の試掘の際に天然ガスと共に温泉が噴き出したというユニークな経歴でその温泉にはわずかに油分とタールが含まれている。そしてそれらに保温保湿効果、抗炎症作用があるために肌に効く温泉と、皮膚科医のコメントを含めて書かれていました。また、この温泉をサポートしている皮膚科医が脱ステロイド、脱保湿剤を提唱していることも私のニーズに合っていると感じました。(詳細は豊富温泉のHPをご覧ください)

更にホームページを読むと温泉は町のサポートが手厚く、町営のふれあいセンターには一般の温泉の他に湯治用の温泉があり、同じ建物の中にはコンシェルジュデスクと健康相談室があり、訪れる湯治利用者や観光客に細やかなサポートがあります。この時既に体中に湿疹ができていて一般の共同浴場には入れない状態でしたので、早速豊富温泉のコンシェルジュデスクに問い合わせてみました。「こんな体でも皆さんと同じ温泉に入れるでしょうか?」との質問に、「同じような方たちが集まっていますから気にすることはありません。その為に湯治用の温泉があります」とお返事をもらいました。

温泉街に点在する宿は町営の長期滞在型宿泊施設や自炊形式の民間宿泊所、旅館やホテルにも自炊ができるようにキッチンやランドリーが備わっていたりと宿泊施設の総数はあまり多くありませんが、それぞれの目的や予算、好みの環境を選ぶことができます。このホームページを読んで ”行ってみよう” と思いました。

《以下 “初めての湯治” へ続く》