湯治後の療養（Day 22）
豊富温泉のホームページにもメッセージを寄せていらっしゃる皮膚科医の藤澤先生を訪ねて診察して頂きました。既にオンラインではお会いしています。（医療法人社団アップル会 藤澤皮膚科）
豊富温泉での経緯と今の状況を診ていただきました。豊富温泉滞在中の滲出液で覆われた顔の写真も見ていただきました。先生からはこの状態は脱ステロイドのリバウンドの症状であること。このまま身体を乾燥させること。その間、塗り薬や保湿剤は使わないが痒みを抑える飲み薬は続けるようにと言われました。
同時に、先生からは湯治に行く時期が悪かったこと（想定外の暑さ）やもう少し事前に脱ステロイドや脱保湿剤についてきちんと調べていった方が良かったのではないか。本来ならば先ず通院してから適切な時期に湯治に行った方が効果があったのではないか、とのご指摘がありました。
私自身、何日か温泉に浸かりながら薬を止めれば湿疹が改善すると思っていたのでとても軽い気持ちで豊富温泉に行きましたし、まさかこんな大事になるとは想像もしていませんでした。事前のリサーチを怠ったことを深く反省するとともに、ステロイドおよびそれを止めた時のこのような激しいリバウンドの怖さを身をもって知ることになりました。また痒みがこんなに辛いものだと思いませんでした。
Day 27
新たな湿疹がさまざまな場所にまだ出てきます。就寝前に服用する痒みを和らげる薬も効かず、眠れない夜が続いたため再度藤澤皮膚科に行き相談しました。痒みはこれ以上和らげることはできないとのことでしたが、夜は眠れるように睡眠導入剤を処方してもらいました。
また繰り返し荒れる手の甲がこの時期乾き始めて傷口が開き、皮膚に弾力が無いため手を握ったり、指を曲げることもできないため軟膏を処方してもらいました。大豆由来の軟膏で何かが焦げたような強い匂いがあります。
アプリ発見！ 新しい物は試してみる
この夜から睡眠導入剤を服用することにしましたが、ネットを見ていたところ、iPhoneに対応したItch Trackerというアプリがあることを知りました。このアプリは夜寝ている間に無意識に掻いている時間を計測するものです。セットして枕元に置いておくだけなので、早速ダウンロードして使ってみることにしました。
試してみましたが・・・
当初は痒みがでる時間帯が分かり、掻いていない時間の中の何割かは睡眠をとっている時間と考えると、思っているよりも長い時間睡眠がとれているのではないかと思いました。
しかし、Itch Trackerを3週間ほど使ってみましたが、明らかにベッドの中で掻いている時間があっても計測に反映されていないこともあり精度が高いとは言い難いようです。一つの目安としてみた方が良さそうです
Day 28
せっかく乾き始めた身体も、時折発作的にくる激しい痒みに耐えかねて掻き壊してしまいます。その部分に水膨れができていたのか、掻き壊したあとの滲出液かは分かりませんが、下着やTシャツが濡れるほどの液が出て、せっかくの改善がまた振り出しに戻ります。自己嫌悪に陥る日々です。
Day 29
一旦乾いた手の甲がシャワーの後に真っ赤になり、良くなりかけていた部分にも所々に裂けたような傷が現れました。また指の節々にも新たにあかぎれのような割れ目ができました。手も乾いているので、指を曲げたり手を握ったりすると傷口が開いてしまします。痛みもありますし、水もしみてその痛みもあります。これらの傷には前述の軟膏を塗れば痛みは和らぎますが、治るわけではありません。悩ましいところです。
この頃になると、夜は痒みもありますが、チクチク・ヒリヒリと皮膚の乾いた表面が弾力を失い、動く度に肌が突っ張られるような痛みがあります。
Day 30
睡眠導入剤
痒みで睡眠が夜がほとんど眠れないことから、2日前に睡眠導入剤が処方されました。使用すれば眠気が強くなり寝てしまいますが、痒みが消えるわけではありません。
睡眠導入剤で朦朧とした中で体中を掻いてしまいます。朦朧としているので抑制が効かず、今まで触らないように気をつけていた耳を徹底的に掻き壊してしまいました。朝起きると、ベッドの周囲には血の付いたティッシュペーパーやキッチンペーパーが散乱しています。無意識に何とかしようとした形跡が残っています。
更にこの2日後には同じ状態で手の甲を掻き壊し、朝起きるとやはり悲惨な状況になっていました。このため、これ以降は睡眠導入剤の服用は諦めました。後日、睡眠導入剤ほどは眠くならないが眠気が強くなるアレルギー抑制剤を処方してもらいました。痒くなれば目は覚めてしまいます。
手の甲の裂けめからジクジクした傷になり、その部分が真っ黒いかさぶた状になります。手の甲の点々と黒いかさぶたができました。この傷は豊富温泉に行って間もなく、手首の内側にできた丸い発疹の表面が真っ黒になり、それが剥がれるとしたから生傷が現れ、乾くとまた真っ黒になったところと同じように見えます。今回のリバウンドと関連があるのかは分かりませんが、手の甲は湿疹が出るようになってからの2年半、一番多くステロイドを塗っていたところです。
脱ステロイドからひと月が経ち、身体の大部分は乾燥してきました。しかしそのために肌に弾力が無く身体を動かすとひきつって痛みを感じます。表面の乾燥した皮膚が絶えず落屑します。自分の周りに落ちている大量の白や皮膚色の粉。顔も乾燥しているので、メガネの縁に白い粉が積もります。そして掃除機のダストビンやごみ箱の底に溜まったそれらの粉を見るのは精神的に負担になります。
また痒みと痛みで神経が疲れるためか、気が付くと呼吸がとても浅くなっています。意識して深呼吸をしますが、なかなかうまくできません。以前やっていたヨガの呼吸法を思い出しながら呼吸をすることをこころがけています。
現時点では豊富温泉にいってからちょうど1ヵ月です。この間に身体から一気に噴き出したものと身体との激しい戦い、せめぎ合いが起こっているように感じます。
Day 50
このところ急に涼しくなり、日中そして夜の気温がぐっと低くなりました。浅い呼吸が続き、呼吸法では一時的に改善しても直ぐに浅くなってしまうため、ここ数日は夜の涼しい時間に30-40分程歩くことにしました。
ウォーキングを日課とし、低山ハイクや歩き旅が楽しみだったのですが、脱ステロイドのリバウンドでこの50日ほぼ運動ができませんでした。汗をかけばそれが沁みてとても痛く、外でその状態が起こることを避けたかったからです。この間、体重は3キロ増え、筋肉量は2.5ポイント下がりました。更に一時的に骨量も下がってしまいました。今は少しずつ運動量を増やして体力の回復をはかる時期と感じています。
日々の気分転換や前向きな心持は大切だと思います。
それでも、気持ちの負担になることの方がまだ多い日が続いています。
・例えば、治らない蛇の鱗のような手の甲を否応なく常時目にするのは辛いですし、痛くもありまた日常にも支障があります。
・今は身体の大部分が乾いていますが、湿疹だったところが赤黒く痣のように広がっています。自分の身体の湿疹の痕跡を見るのは心が痛みます。
・相変わらず表面の乾燥した皮膚が絶えず落屑します。顔や体に少しでも触ればはらはらと粉が舞います。粉は目の中にも入ります。更には机の上、スマホの画面、洋服やメガネに落ちる粉が見えてしまえば気になり、1日中払ったり、粘着ローラーで拭き取ったり、掃除機で吸引したりしてしまいます。落屑が脱ステロイドでは進歩であると分かっていても落ちる粉に右往左往させられるのは気持ちの負担になります。
・この状況がこの後どれだけ続くのか、顕著な回復を実感できるまでにあとどれくらいかかるのかという先の見通せない不安もあります。
・今日はここが良くなった、という顕著な変化が日毎にあるわけではありません。
・そしていまでも身体のどこで急に襲ってくる痒みとの闘いがあり、それが果てしなく思える事です。
数少ない進歩らしきものは、時折新しい湿疹がでても、痒みの質が以前とは少し変化しているように感じることです。
脱ステロイドは自分で決めて始めたことですし、変化のスピードは月単位でみなければと自分に言い聞かせながら、日々一喜一憂することの無いようにしています。
50日を一つの節目にして、今後は月単位での変化を見ていこうと思います。
治っては現れる手の甲のリバウンド
